不景気が続いている。みんな、お金が無いわけではない、悪い流れがいまだ隠蔽されている以上、先行きが不安なだけである。でも、人が活動する限り、必要なものは必要であるし、食べてきた物は、食べたいのである。だから、美味しい物は、食べる回数を減らすしかない。それは、散髪に行く回数と同じ傾向を示す。端的に言えば人にまつわる事柄は、殆どが回数を減らすことで状況を切り抜けようとする。時間稼ぎというか、課題の先送りと同じ思考だ。しかし、それにも、当然限度はある。
特に、激しい競争で淘汰されてきた「デパート地下のお惣菜屋」でさえも苦戦を強いられている。手を変え、品を変えて、購買意欲をそそろうとするが、そんな努力は全くの無駄である。今、デパートに来ている人は目的がはっきりしている。いつもの商品を買いに来ているだけである。大幅に値上げされた商品には躊躇しても、そうでなければ購入する。 ただ、店側にとってみれば、現状では明らかに販売数が伸び悩み、損益分岐点を下回っているので、いつこの売り場から撤退しなければならないか、不安を抱え、深刻な事態になっている。だから、店主はいつも電卓を叩いているし、店先では、私にまでも声をかけてくる。
半年ほど前になるが、小田急デパートから出たところで、インタビューアに引っかかってしまった。「これからのデパートのあり方について」色々と聞かれた。結論は、「再編・統合しかないしょ」というと、インタビュア、カメラマン、マイクさんまでも、5人そろって顔を強張らせた。「いやいや、デパートだけじゃないすよ、家電メーカー、大型電気店、カメラ量販店、ほら、そのヨドバシ、ビッグカメラ、さくらや、・・・そんなに数は必要ないし、「ポイントと言う名の(=次回値引きなしの預け金)」の競争までして買わないでしょ、インターネット・ショップもあるし・・・」。予想屋でも占い師でもないが、客観的に観て誰でもそう思うに違いない。先行き、明るいのは、これから増える「我慢して先延ばしに出来ない葬儀屋」、合わせて仏壇屋ぐらいしかないが、葬儀屋も適正で安価になったし、仏壇もモダンでアーティスティックに変わってきている。ニーズのあるところでは、手を変え、品を変えるのが定石だが、ニーズの減ったところでは、そんなことをしていたら、それが命取りになる。これは、作り手、売り手が時代の変化を素早く捉え、追従する事が出来ない過渡現象によるものだ。負けの構図が分かった時点で、さっさと撤退すべきである。
ちょっと、横道にそれてしまったが、ついでだから明るい話として、美を追求する年配(60歳以上)の女性が増えて、「いくらお金をかけても、美しさを維持したい」と言う要求が高まっている。年配女性向けの化粧品、加圧トレーニング、美容整形、高栄養剤血管内投与、などが流行っている。これらは、気分的な美から、老いることを遅らせる美学まで、多彩に用意されている。もっとも老いから来る病気を防ぐ効果もあるため、最高の予防医学でもある。勿論、旧来の医者には手が出せない新たな機材や技術が使われている。日本も欧米並に、若返り対してコストをかけるようになった。お金が余っている人達に残されている最大の課題は、やはり「老い」なのである。このような本質的な課題の先送りの技術は付加価値が高く、最先端テクノロジーが威力を発揮する。
我々庶民は、適度に楽しく生きて、ある日、「ぽっくり行く」これが理想であるが、それも、ままならない現状がある。ならば、今、好きなものぐらい、食べようではないか。それも、明日への元気の源だ。 今日は、デパート地下で販売されているパスタを紹介しよう。アントニオデリというお店(東急フードショウ、二子玉川の高島屋などにある)の「4種のチーズ・ソースのリガトーニ」である。たまに頂くと、このチーズソースが「たまらなく美味しい」のである。もちろん、自分で材料を購入して作るより安い計算になる。勿論、イタリアンのお店で頂けば1,800円ぐらいはしそうだ。このように、購入者にとって明らかに割安感が感じ取れるものは支持を得る事が出来るが、いくら美味しいものでも、平素は買わない珍しいものや、今時の高級品は説得力が無い。
この時期、庶民には小安い価格で、他より鼻差、首差メリットが計算できるだけで十分といえる。それが分からないデパート感覚には、やはり問題がありそうだ。 ではこちら
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