昨年6月、渋谷の「壱源」のコタンラーメンを紹介した事がある。昨年11月ぐらいに近くへ寄る機会があったので訪ねてみたら、何と閉店してしまっていた。あのあたりは、地価高値安定の地域だから、採算の取れる客数を確保できなくなったのでろう。北海道出身の人達は、大変残念に思うに違いない。このお店に限らず、故郷のご当地料理を出す店は、飛行機で往復するより安いことに間違いは無いので、少々高くても本場の味が楽しめることはありがたいし、好きなものがあるなら、とことん楽しみたいものだ。
一方、東京は、懐かしい味に執着するよりも、新しくて美味しいものが次から次へと沢山用意されている。だから、いつしか故郷の味なんぞ忘れてしまい、お洒落な店へ通うようになるに違いない。田舎者ほどそうなる。もっとも、そんなご当地ならではのお店も集客数拡大のため、東京の趣向に沿った味に変貌してしまい、本来の良さを見失うことにもなりがちだ。 結局、景気に左右され客数が減ると、何をどのように手を尽くしても、撤退せざる終えないことになる。特に、100軒あれば100通りの味があるといわれるラーメン店の経営は、多くの地方出身者が集う大都会でも、既に難しくなってきたのかもしれない。
私は、ラーメンを食べるなら味噌味が好きだ。元々関西人であるので、尾道ラーメンや広島ラーメンも嫌いではないが、「それは、もういいや」と思っている。北海道ラーメンの中でも、辛味噌仕立てが特別好きである。中に入っているものは、とんこつの成分であることは十分理解していて、平素、このようなコラーゲンの大量に含まれる食品を嫌うため、1つの補給手段としてもありがたいと考えている。そして、1番美味いと思わせる要素は、何と言っても、ちぢれ麺の「腰の強さと喉越し」であり、讃岐うどん、イタリアン・パスタ、ともに、それは酷似していて、麺を食べる醍醐味に共通性があり、自己のデーターベースの上では「納得感のある麺類の1つ」と位置づけている。ただ、辛味噌オロチョンのトッピングの中には、どういうわけか焼き豚のような四角く裁断された肉の固まりがいくつか混入しており、いつも、このお味は、「美味しくないんだけどな」と思いながら頂く。ここには、もう1つ工夫がほしいところだ。 このような、自分では何でもない要求は、提供者側からすれば、「わかってない」客になるのかもしれない。
さて、今日紹介するのは、同じ渋谷にある「味源熊祭」というお店で、看板に付け加えるように「おくむら」と書かれてある。JR渋谷駅からも近く、便利な場所なので東急ハンズの帰りなどに寄ってみるには好都合である。
同じ辛味噌のオロでも、あの「壱源」とは、少々異なる味になっている。それにしても、より濃厚で、なかなか手数をかけ、作りこんだ美味しさが楽しめる。麺は、縮れた玉子麺ではないが、手打ちを思わせように、太くて腰もあり、喉越しも良い。これも、なかなか満足感を伴う食べ応えのある1品といえよう。私の場合、普通は辛味噌以外のラーメンを食べる事が無いが、激辛の鉄火麺もかなりいける。辛いのがお好きな方は、これもお勧めだ。そのほか、札幌味噌、函館塩、旭川醤油などもあり、それらの感想をぜひ、北海道出身の方がいらしたらお聞きしたいと思っている。店内は大変綺麗で、ラーメン屋さんの匂いさえなければ、ちょっとした小料理屋を思わせるお洒落な感じで、女性の方にもお勧めできる。
ではこちら
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