今日は、市販の蕎麦を試してみることにした。勿論即席だ。最近のマーケットでは、蕎麦展示の一角の面積を増やしてきた。それらは、乾麺、生麺、太麺、希釈用つゆ付きなど様々の品種に及ぶ。テレビなどでも、「ごんぶと」なる宣伝を見た事がある。そんな多くの製品の中から、江戸の味「東京・藪そば」=(製品名)と書かれた即席蕎麦を再現してみる。何とも雰囲気のあるパッケージデザインに魅了され、つい手が伸びてしまったのだ。これは、「藪」系統の蕎麦屋の製品で、甘皮色を入れた淡緑色の蕎麦で更科蕎麦と共に、東京蕎麦の代表格である。製造元は「麺処本舗」=株式会社 東京三八 (調布市佐須町2丁目31番1号)である。
蕎麦といえば、「もり」か「かけ」だが、もりにして、ついでにだし巻き玉子も作る。蕎麦好きが10人いれば10通りの嗜好があり、全ての人達を満足させるのは難しい。とくに、蕎麦つゆは、お店等では独自性を出すため、よく「秘伝」と言う言葉が使われるぐらいだ。おっと、最近の「秘伝」とは、「教えられない」と言う意味だけに使われる。
特に、同梱されている蕎麦つゆは極小量しかないため、何かしらの追加が必要だ。そこで、市販の蕎麦つゆ、本醤油、顆粒だし等を組合わせて作ることにする。基本的には、味醂と醤油とだし(鰹節、鯖節、など)の3点で調味混合されている蕎麦つゆは、独自の工夫で様々な味を作ることが出来る。お店を開くなら、それに本格的に取組んでも良いが、この蕎麦を美味しく頂く程度には、市販蕎麦つゆ混合方法でも十分近づける事が出来そうだ。市販の蕎麦つゆは、保存性を高めるため、たいがい甘く作られている。何種類か比較しても甘さが残り、その割には味が薄い(PDF写真でもつゆは薄い)。そこで、本醤油を加えて(少し火を通し)甘さを抑えた「神田まつや」風にするか、甘さを抑えたところで、あごだしを加えて、「砂場」風に仕上げる。さらに、刺身醤油を微量追加したり、蕎麦の蜂蜜を少量添加してコクを出す。その後、最後に天然水を少量加えて薄め、冷却する。この方法は、あくまでも、「もどき」であるが、これでも十分楽しめる。なぜなら、ネギやわさび、大根、一味など薬味を追加するからで、ある程度自分の好みが実現できれば良いからである。
一寸余談になるが、今までに蕎麦屋は4軒紹介してきたが、蕎麦の麺は、深大寺粗引き蕎麦が断トツNo.1 といえよう。しかし、蕎麦つゆは難しい。合わせる蕎麦によっても違うし、日によって、体調でも異なる味に思える、もっとも、自分が関西人であることもあって、砂場の蕎麦つゆは親しみやすい。もちろん「だし巻き玉子」も砂場が好きである。
だし巻き玉子を作るときは、天然水で薄める前の濃い調味混合液に三温糖か、砂糖を追加して甘みを加えて玉子と攪拌する。玉子は味が抜けやすいので、色は若干濃く感じるぐらいで丁度良い。玉子焼き用のフライパンに胡麻油をごく少量加えてから、フライパンに満遍なく通し、玉子を流し込む。決して強火にはせず、半熟が残っている間に、ゆっくり巻き上げて余熱を活用する。誰でも簡単に柔らかい「だし巻き玉子」が5分程度で出来る筈だ。 ごく少量しか使わないが胡麻油が嫌いな方は、普通のサラダオイルでも、オリーブオイルでも構わない。出来上がったら、大根を多めにすりおろし、絞って蕎麦つゆを加えて脇に添える。
蕎麦麺の茹で加減は、たっぷりのお湯を使って麺を泳がせるようにすることと、茹で上がったら冷たい水で、ほぐしながら洗うように冷やすのが注意点だ。笊は、水切りの為にも、風情を楽しむ為にも、必らず用意してほしい。最後に薬味を用意すれば作業完了である。全体を通した制作時間は流れを手際よく考えて実行すれば、おおよそ20分もあれば十分である。 また、こうして、自分なりの「蕎麦つゆ」を研究してゆけば、蕎麦屋での味わい方も変わる。また、市販の蕎麦麺に対する見方も変わり、結構、面白くなると思う。
この蕎麦を総評すると、茹で時間次第ではあるが、今日の「藪そば」は、やはり、神田藪そばに近いと思う。目的を果たすと言う意味では、よく出来ている。昨年10月に「神田藪そば」の報告があるので、そちらを参考にされたい。 では、こちら。
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