前回は、和風のカレーと称して野菜中心のカレー丼を紹介した。量的にみると、茶わんの大きさは直径15cm程度、その中に御飯は、おおよそ半分なので、普通なら軽く1膳といったところだ。大脳を目覚めさせるだけなので、大量は必要ないが、必ず朝に食べたい。しかし、毎朝は手間がかかるし、さすがに、3日目あたりからカレー自体に飽きる。だから、本来なら味の異なる何種類かのカレーを用意したいものだ。土、日曜は大脳がお休みでも構わないので、5種類用意できれば良しといえる。ということで、これからも研究を続けることにする。
一方、百貨店地下にあるカレー屋のように、カレー自体を共通にして、上に乗せる具のみを変えていく方法もあるが、これは、あくまでも理屈で考えたカレーの分類で、視覚的な区別でしかない。これは、戦後の進駐軍の食堂にありそうな発想で、畜生に異なる餌を与えるような扱いだ。とても、微妙な味覚を備えた日本の食文化にはそぐわない。つまり、大脳を刺激するだけの魅力はないし、むしろ、早く飽きる要因の1つになってしまう。朝の食事は、空腹感を伴わないために繊細である。この繊細な反応を「理屈や視覚」で押切ることは出来ない。それは、返って大脳に矛盾を突きつける行為につながり、習慣としても良いことではない。そんなことは、会社だけにしよう。自分の中に、作り手としての自分と、食べる側の自分の2人がいる事を意識して、互いに日々改善する創意と工夫が必要だ。つまり、前夜から、翌朝に食べたいと思わせるだけの「魅力」あるカレーを追求し、一方で、前夕食を少し抑えるなどの消化器への「配慮」が必要になる。 そういう気持ちが、「美味しさ」に繋がるのである。
「美味しい」とは、鬼平犯科帳に出てくる「俺の胃袋を刺激する」ものではない。あくまでも、大脳を刺激することである。そのためには、食感のみで評価することは出来ない。加えて、1.そこそこのコストで出来る。2.使われている食材の素性が分かっている。3.信頼できる人が作る。このような背景と必然性がほしい。この条件を満たすのは、あくまでも、自分自身で全てを管理することである。おっと、大御所の母さんを忘れてはならない。
今日は、「大根と帆立」を使ったカレー丼になる。俗に、シーフードカレーと表現しても良いが「海鮮カレー丼」と名づけた。基本的には、前回と同じ手法で作るので、初めての方は前回の「自作料理7 和風のカレー丼」を参照されたい。それでは、異なる部分について補足したい。今回のポイントも、「和だし」を使うことになる。「あごだし」と「昆布だし」粉末を天然水で溶く。目安は4人分である。 手順の詳細は1例として添付のPDFにまとめてあるので、そちらを観ながら独自の工夫を考えてほしい。 まず、にんじんと大根、玉葱は、皮を剥き裁断し、玉葱、帆立、大根それらをオリーブオイルで炒める。帆立、大根は、すぐに煮出しても良いが、味を濃くするため、少しフライパンで焦げ目をつける。これによって、少々香ばしい薫りが得られ、味にも奥行き感がでる。丁度、「鰹のたたき」のような味わいを連想してもらうと良い。刺身だけに比べて、鰹独特の味が強調される。また、野菜スープを作るときも、同様に少し焦がして薫りを高めたり、味を濃くする前細工として多用される。
次に、この炒めた玉葱、帆立、大根と、薄切りのにんじんを日本酒で煮るが、この工程で素材の臭みがなくなる。日本酒を入れることで、甘みが増えている印象を受けるが、アルコールが揮発すると同時に甘みも減っていく。トマトやりんごなどを投入すると酸味なども強くなるが、これも火加減で減ってゆく。使用する油分は出来るだけ減らそう。次に、カレー粉は2種類の使用になる。よく耳にすることとして、2種メーカーのカレールーを使うというのがあるが、それと同じである。主に、前回の「野菜カレー丼」と異なる味にするためである。また、香辛料をいくつか別途用意して、より好みの組合わせを模索しよう。1つ1つ香辛料を試しながら味を楽しむことも、大脳に良い刺激を与える。ベンガルのカレー粉(PDF写真下側)は美味しいのでお勧めである。海の食材を使ったカレーは、ややもすると具材が淡白に感じられる事があるので、そのためにも、スパイスは増やしたい。加熱と冷却の繰返しでスパイスの薫りは消えていくので、好みでどんどん追加してほしい。
最後に、好きなトッピングを製作して味の違いを強調する。ここで初めてトッピングにバターを少量加え、さらにスパイスを加えて、薫りと旨味を調整する。ではこちら。
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%21136&app=WordPdf
l