2009/09/04

ラムレーズン・ヨーグルト

 最近の若い女性は、食品のエネルギー量やカロリー値をかなり気にしている。食品購入時には、必ず裏の表記を参照し、自分の体と相談して意思決定をする。それだけではない、レストランでもカロリー表示の無いお店は、敬遠されるようになってきた。その背景となる理由はともあれ、これは、人としても「極めて正しい姿勢」といえる。そして、いつも微妙な空腹感と戦っているのである。女性が強くなったと言われる本質的な根拠は、実はここにある。常に何かを我慢ながら生きていくことは、精神的に人を大きく成長させる。

 一般的に、美味しいと思う食品は概して高カロリーに出来ており、満足感も高い。この満足感が我々の活力を大きく衰退させ、「ハングリー精神」という言葉を死語にしたのである。人は、いつか腹いっぱい美味い物を食べたいと願いながら努力するものだ。戦後の日本を復活させた活力は、まさにその空腹感である。これは、決して「食べられない」という意味ではない。あくまでも、もっと美味しい物があるはずだという「渇望」なのである。そこに到達するために、がむしゃらに努力するわけで、そのハングリー精神で高度成長を成し得たともいえる。しかし、その「宴の後」に腹いっぱいになり、ちょっと横になったのはいいが、起きれなくなったのが今の日本である。いやいや、我々の先輩方は常に気合に満ちているから、節度というものがあったが、そのまま熟睡してしまったのは我々の世代である。と全く嘆かわしいが、我々の体は高カロリーを許容する。そして、カロリーは、カロリーを呼び寄せ、褐色脂肪細胞を刺激し高カロリー体質になってしまうのである。これからは、節度を持って食べることにしたい。

 今日紹介する食品は、最初 「えっ、これ、大塚食品?」と耳を疑い、聴き直してしまった程の衝撃を受けたものである。だいたい、この会社は、「どこまでも体に優しい商品を提供する会社」である。しかも、低カロリー志向であるがゆえに、最近まで、しみじみと「美味しいなぁー」と思う商品に出くわした事は無かった。体に良いことは分かるが、「続かないな」と感じることの方が多いのである。いや、「スゴイダイズ」の事を批判しているのではない。いまさら、この歳で豆男になる必要もなく、筋骨隆々で凄いと言われる必要もない。その自分の動機の希薄さと、習慣性のバランスを申し上げているのである。それにしても、マーケットに迎合せず、いまどき「独自性と信念に満ちた製品」を世に送り出すことに敬意を払っているし、勿論、それらの製品に信頼も寄せている。

 しかし、不覚にもこの会社に 「まじっ、本気で美味しいー」 といえる商品が「密かに存在」していたのである。今日紹介する「贅酪シリーズのプルーン・ヨーグルトとラムレーズン・ヨーグルト」がそれである。

 当初、プルーンが発売された時、その美味しさに驚いたわけだが、しばらく、店頭で見かけない時期があった。プルーンの安定供給や品質に問題があったのかと勝手な憶測で心配をしていたのだ。しかし、この度、ラムレーズンを加えて再び店頭に現れたのである。今、「アッ、ハッ、ハッ、ハッ」と、この2つの商品を紹介することに、何故か他を圧勝した時のような、誇り高き満足感を得ている。生乳を使ったピュアなヨーグルトに、アイスクリーム系のスイーツをイメージさせる取り合わせが絶妙で、芳醇な風味に仕上がっている。ヨーグルト自体の品質も、文句のつけようが無いくらい美味しい。食べ進むことによってドライフルーツの旨味が溶け出し、より芳醇さを増してゆく。食べ終わると、「やっぱもう1個食べよう」と思うのである。だから、ダイエット中の人でも、高価なダイエット食品より、こちらの方が優れていると思うに違いない。勿論、これなら続けられるはずである。

 あえて、1つ不満があるとすれば、これを大型スーパーの、たとえばイトーヨーカ堂などに並べられても困るのである。このあたりに、大塚チルド食品の販売戦略に「あせり」が見える。イトーヨーカ堂は、品質の高い物を積極的に販売するというより、安価な商品を大量に販売するお店である。この時期、それは大変有意義な販売戦略だが、この商品の取扱い店としては不適切としか言いようが無い。

 美味しい商品は、若者にとって自分達の住む社会の、明るい未来を予感させるものである。一方、口の肥えた中高年には、少なからず残された人生の楽しみになる筈だ。いずれも、高級アイスクリームのように身近で素早く手に入れたいに違いない。 都会へ出ればちょっと美味しいスイーツ物は沢山ある。しかし、今や、身近ですぐに手に入ることの方が断然価値は高いのである。若者は、コンビニを自分の冷蔵庫のように考えていて、いつもチェックを怠らない。常に新しい美味しい物を探しているのだ。中高年も少しずつそれを見習うようになってきた。だから、こういう本物の「美味しい商品」こそ、コンビニに置いてほしいのである。

 付け加えて、このヨーグルトは、砂糖、香料、安定剤を使用していない。生乳のみを生かしたヨーグルトに、プルーンやラムレーズンを入れただけのものだ。口に入れると上品で、うれしい気分で夢中になる。「お腹にも良い」ので、これなら入院中の患者さんや、寝たきりの御年配の方にもお勧めできる。これを口にして、少なからず元気を取り戻してもらいたいものだ。1個157円だから必ず2種類を食べさせてあげてほしい。
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