2009/10/20

GABAN なドレッシング

 GABAN のロゴを見て、ラーメン屋さんの「いくらでもかけてちょうだい」と言わんばかりの「青と銀の胡椒缶」を思い出す人は少なくない。かつて、少々振っても出ない四角柱の白い胡椒が置いてあった頃は、ラーメンは和風で旨味の時代であった。それが、GABAN の登場でラーメンの主流が一変する。スープに野菜、お肉や魚をふんだんに投入し、味わい深い濃厚なコクを特徴とする時代に変貌したのである。さらに女性陣の参入による辛味へのあくなき追求なども加わって、時代はまさに強力なスパイスを欲していたのである。そんな現代の濃厚ラーメンを牽引するGABANは、既に幅広い年齢層が親しみを持つ「スパイス専門の業務用のブランド」である。

 今日紹介する商品は、GABAN が味の素のグループ会社であることを正々堂々と知らしめる商品と言える。味の素の製品にもかかわらず、GABANと銘打ったこのドレッシングは、瓶の底数センチまで沈殿するほど、ふんだんに「荒引きのスパイス」を投入して作られている。この様子は、世の奥様方をきっと惹きつけるに違いない。食卓では、お父さんも「おっつGABANか」といって手に取って繁々と眺める筈だ。そんな、幅広い層に知られているブランドを前面に押し出し、スパイシーなドレッシングを印象付ける「味の素の戦略」は、必然性のあるコラボレーションには違いないが、「形振り構わず」という印象も隠せない現実のようだ。味の素が担当する、オリーブオイルやスピリット・ビネガーは、もはやお皿の上の盛られた野菜や食材とGABANのスパイスを結び付ける、「庵かけの庵」のような役割りでしかない。しかし、この新たな試みと言うべき、スパイシーな分野を拡張した作品は「案外新鮮」で、目的別にスパイスを組み変えて4種のラインナップに仕上げられている。これらを揃えることが、味覚のヘッドクオーターともいえる親会社としての役割なのだろう。

 さて、実際に、これらの4種のドレッシングを使い分けてみることで、幅広い用途の味に対応できることが分かる。それぞれの味は極めて馴染みやすく、どこかで食べたことあると記憶を呼び起こすような気分になる。家庭用としては特別スパイシーなので、少し分かりにくいかもしれないが、「味自慢のファミレス」で使われている味に近い。どのドレッシングを使っても味のまとまりがよく美味しい。そういう意味では、特別な新しさは感じられないが、最初から定番的な安心感が存在している。もっとも、キレと言うか先鋭度が際立っており、4種揃えておくと適度に使い分けながら楽しめる筈である。

 ガーリックペッパーとハーブレモンの箱には、オリジナルレシピなるものが織り込んであり、近所のイトーヨーカ堂、ヨークベルマン、ヨークマートなどのスーパーで揃えられる食材で一寸手軽な新しい楽しみ方が提案されている。 これによって、もはやデニーズ風のサラダ、マリネ、丼物が簡単に出来てしまうのだ。

 もちろん、自由にアレンジして個性的な利用も可能だ。たとえば、鰻屋のあの香りだけで、御飯とお新香を戴くような空虚な満足感も味わうことができる。レタスだけのサラダに「黒ゴマと黒胡椒」を使うと、どこかに豚のお肉があるような錯覚になったり、ローストビーフに「ハーブレモン」を使うことで、ビーフのマリネに変貌したり、焼いた少し厚めのベーコンに、「ガーリックペッパー」を使うと、ステーキ風サラダになったりと変幻自在である。邪道といってしまえばそれまでだが、人の味覚とはそんなものなのかもしれない。実体が無くても、その味をしっかりと認識することで、満足感と低カロリーの両立が可能になるのである。そんな使い方は、よほど体重を気にされる方か、ダイエット中の人以外にいないと思うが、逆にみれば、実はドレッシングとしてまとまりよく出来ている証拠である。

 味自慢のファミレスよりスパイシーなドレッシングをたっぷりと楽しめ、小安い価格で、しかも手軽に使い分けができることは、今の時代に優しい商品戦略なのだが、ただ、ここで何気なくオリジナルレシピなるものを眺め、先ほどのスーパー名が何故明記されているか疑問を持つことで、背景にある販売戦略の「恐るべし」要因が見え隠れする。かなり遠回りな戦略とはいえ、明確な意図を感じるのである。うーむ。ただ、そんなことは我々ユーザの「知ったこっちゃない」わけで、これら4種を揃えることで、毎日の野菜、魚、お肉がかなり幅広いバリエーションとして楽しめれば良いはずである。野菜は何も生だけではなく、火で炙ってからドレッシングを使ってもよいし、蒸しても美味しい。 それにも、ぴったり合う筈。
ではこちら
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