2009/10/02

カフェド クリエのマカロン


  焼き菓子の作り方も、本来は母さんから教わる物であった。実際に、生地から自分で作り、寝かせたり、温度や微妙な生地の変化、あるいは時間の管理は豊かな経験が必要である。それらを、書物や画像から読みとるのは難しいし、1人で実践するのは難儀を極める。ただ、形の小さい物は簡単そうに見えてしまうため、つい手を出してしまう人も少なくない。このマカロンの作り方は、卵白にグラニュー糖を加えて泡立て、アーモンドの粉などを加え、さらに、着色する場合は、ココア、食紅、抹茶なども添加する。それを丸くクッキングシートの上にいくつかドーム状に搾り落として乾燥させ、オーブンで焼き上げて、その2枚の間にクリームを挟めば仕上がる。こんな簡単に作れそうな焼き菓子だが、案外綺麗で美しく作られている物は、いまだかつて拝見した事が無い。丸い厚みのあるドーム状までは良いが、大概、若干上下がチグハグで、色も薄く見るからに硬そうで、既に固まったクリームが挟んである。そんな印象を持っていた。いくらフランス風の由緒正しいお菓子でも、とりわけ美味しい物でもなさそうだ。やはり、お菓子は「外見が美しく、食べてみたい衝動にかられそう」な形状が重要な要素である。

 今日紹介するマカロンは、とても「形といい、色といい、美しい」と思う。1度でも自力で作った経験のある人なら、恐らくその色合いに感動されるだろう。感動の後に、何か新たな技術革新を使って作られているのではないかと疑われるかもしれない。私も最初、きっと、高精度なアルミダイカストの型に流し込んで作られているのではないかと思ったぐらいだ。手作りだとしたら、もはや神業である。そのくらい、製品の形状均一性、色再現共に、芸術の領域に達していると思える。勿論、これだけの美的感覚で作られているので、挟んだクリームにも工夫が凝らされて、お味の方もなかなか美味しいと思う。1個150円でお高いように思われるかもしれないが、むしろ、よく出来ていることに感銘を受けて味わい深い。時間つぶしにカフェドクリエを訪れたら試して欲しい。OHs と言った感じである。

 このマカロンの製造工程で、もっとも難しいとされているプロセスは、「マカロナージュ」という作業で、これは、ゴムへらで泡立てたメレンゲをボールにこすって、潰すことらしい。この泡立てながらもそれを潰すという相反する作業が、生地に後々柔らかさと艶を与える結果になるという。このあたりは、何度か試してみないと分からないことだ。しかも、この作業の後の、焼き上がりのイメージがこの段階で湧くようになるには熟練が必要である。なぜなら、その次のプロセスで、生地を搾り袋に入れて、丸く搾り出す作業、さらに、生地を乾燥させるプロセスもあり、そのまま焼き上げるのとは少し案配が異なり、このあたりに熟練を要するため、素人が安易に手を出しにくいところと言えそうだ。

 このような、感覚的に掴む部分は、案外教えてもらえないことが多い。これを菓子作りのノウハウとでも言うのだろうか、教える側は、「本人が何度か失敗するうちにコツが分かってくる」とか、もし、「コツが分からないようでは、お菓子作りを自ら諦めるに違いない」とでも思っているのだろう。このようなことは、趣味でも、仕事でも、何かにつけて介在する。何か、人から教わるときは、漠然とメモを取るのではなく、最初に「先生、ポイントとなる箇所を3つ教えてください」と質問するのが良い。そして、「早めに何故そうなのかを分析」することだ。そうでもしないと、多くの卵白が必要になったり、大量の不良在庫が増えてしまうことになる。おまけに、最後は菓子作りのセンスが無いとまでいわれる。そういう意味では、やっぱり母さんから教わるのが良い。

 PDFを見ていただくと、まず、色が綺麗で、全ての形が均一なことがお分かりになると思う。PDFにしていることで、実物より解像力は低下しているが、是非、他のマカロンの写真と比較してみてほしい。 写真にも興味のある人は、パナソニックのホームページの「ファッションムービー一眼カメラGF1」の紹介で「マイカラーモード」の写真見本も、参考にして欲しい。ここにもマカロンが使われている。 ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%21362&app=WordPdf