世の中には、背景を知らないと不可思議に思えることは多い。多摩川を越えたところの閑散とした不二家の店の前で 「ミルキークリームロールあります」 という看板を見かける事がある。写真もなければ、説明書きもなく、どのようなケーキなのかすら分からない。いつも、ウォーキングの途中、その店の前を通るが、想像だけは逞しいので、歩きながら「ミルキーを生クリームに溶かし込んだものか、生クリームをミルキー風に味付けしたもの」をスポンジで巻いてロールに仕上げた物だろうと、考えるわけだが、やや酸素不足が続いていることもあって、その詳細まで考えが及ばなかった。製造工程が分かれば、どのような味なのか、おおよそ連想ができるが、商品名からその原材料や製造方法を連想するのは難しい。しかし、このミルキーという言葉が使われている以上、間違いなくコンデンスミルクに近い材料が味の決め手になっていると推察される。元々、ミルキーはコンデンスミルク、クリーム、水あめ等から作られている。
コンデンスミルクといえば、古くは「鷲のマークの缶」を思い出す人もいるかもしれないが、大方は、イチゴにつけるあの赤いチューブをイメージされる。それは、「濃縮生乳に44%もの蔗糖を加えて練り上げた液状」のもので、必要なだけチューブから取り出して使用できるようになっている。また、この蔗糖を加えて練り上げたという工程を表して、「加糖練乳」または、単に「練乳」という呼び方もされてきた。チューブの中には、130g、あるいは時折増量と称して150gが入っており、100gあたりのカロリーは329Kcalである。これを、紅茶等に入れてミルク紅茶を作るには。10~12g程度を使用するので、計算上 32~40Kcal となる。ヨーグルト等を例にとると、「大塚食品の贅酪(低カロリー)」100gカップ容器で104Kcalである。つまり、我々ユーザーにとって、コンデンスミルクは原材料とみなす事も出来るため、甘さの容量を基準にすれば必ずしも高cal とは決め付けられない。
さて、今日の話題は甘い物が苦手な人には、とてつもなく苦痛かもしれないが、紹介するのは、私が昨日まで無頓着であったにもかかわらず、銀座などの都会だけで空前のヒットを飛ばし続けているという「不二家のミルキークリームロール」である。川向こうの不二家のお店に看板が出ていた理由は、ここにあるらしい。全国販売における水平展開を狙ったもののようだ。それでも、やはり数奇屋橋店の行列に並んで購入する。この手の商品は、売れている店で買わないといけない。本来ならば、出来上がった物をすぐに戴くのが一番美味しい。そう思ってか、並んでいるおっさんは私だけではない、子供さんのお土産に買って帰るのであろうか、無理やり約束させられたのであろうか、サラリーマン風のおっさんも数人いる。いざ順番が来ると、色々他のケーキなどに目移りがして気になるものである。ショウケースの中からよく似たものを指差し、数寄屋橋店にしかないという、「カットミルキーロール」を手に入れた。何のことはないミルキーロールをカットして、生クリームをトッピングしてあるだけのように見えるが、こちらは、普通のミルキークリームロールに比べ厳選素材で作ってあるとのことである(体積価格は2倍以上)。ついでに、生キャラメルのような生ミルキーも手提げに入れてもらった。家に帰って早速食べ比べと行きたいところだが、ちょっと楽しみな反面、良く考えてみると誕生日検診(30日)があるので、それが終わるまで一寸サンプル程度の試食に留めることにしたい。賞味期限は1日程度で、正確な評価にはその期限内に食べなければならない。2つを比べると、数寄屋橋店のカットミルキーロールの方が甘味がスーッと消え素材が純粋な感じで、上品な仕上げになっている。モダンで大人向けといったところ。一方、ミルキークリームロールの方は、甘味は抑えてあるが粘り強い感じで、懐かしい味に仕上げてある。こちらの方が昔のミルキー風である。赤い箱の生ミルキーも上品で爽やかな感じの仕上げである。補足しておくと、自慢するつもりはないが、私は珈琲、紅茶には欠かさない、筋金入りのコンデンスミルク愛好家である。勿論、そうでなければミルキーの類は購入しない。
PDFの写真では、巨大なミルキーのように包装をされているのが、いわゆる好評の「ミルキークリームロール」で、断面は手前にあるカットミルキーロール(数寄屋橋店オリジナル)と同じで、上に載せられたトッピングを取り除いた状態になる。ということで、ロールといっても、六時屋のタルトのような渦巻き状の断面ではなく、太巻き状のもので、内部の具が全てミルキークリームになっていると思ってもらってよい。殆どが生クリームのせいか、柔らかすぎてカッティングにも慎重になる。 撮影の際にも、カットミルキーロールは柔らかく、室内の温度で既に溶けそうで、手で触ると「おおっ、まずい」といった感じで、何処までも柔らかく、室温によっては、食べるタイミングを逃すと、箸にもフォークにも引っかからなくなりそうだ。
ではこちら
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