2010/01/29

京王フローラルガーデン2

 京王線の多摩川駅に隣接したフローラルガーデンでは、今、春の訪れを待っている。この寒々とした時期にこそ、しっかり準備しておかなければならないのであろう。スタッフは、あちこちで忙しそうに木々の手入れに余念がない。それでも、彼女達は礼儀正しく親切で、それが年間を通して、多くの観覧者が集まる雰囲気を作り出しているといえよう。
 この庭園の最も特徴的なのは、セグメンテーションされた個別のテーマガーデンが全体として見事に融合しているところである。もちろん、そこには、それぞれコンセプトが引き立つように細部にまで手が加えられている。それによってテーマガーデンは特徴を浮き彫りにし、1つ1つが贅沢なほど盛りだくさんに、ちょっと異国を思わせるような雰囲気もあり、美的でモダンに構成されている。さらに、四季を通じて新たな発見も多い。
 花を楽しむには、たくさんの品種がただ咲いていればよいというものではない。その周囲にある構図が美しく感じられるよう、自然の理にかなった形で配置されていなければならない。人は、まず全体の美しさに惹かれて興味がわき、そして、近くに寄り、細部に目をやる。その絞り込まれた範囲の中で、様々な感性が刺激されるのである。そして、その美しさの背景というか、裏づけとなる工夫話等を聴きながら、時間の経過に従う立体的な奥行き感をとらえる事が出来る。そんな意図が風景に滲み出ているのであろうか、ここでは、クローズアップはもとより、風景写真に拘るコアなカメラマンが多いようだ。それだけ、ガーデンデザインの企画意図が鮮明になっているということなのだろう。
 今日も、ここまで50分ほど歩きながら写真の構成を 「何処にもない写真で迫らないと、他と同じじゃ、つまらんしな」と考えていた。電車で来るとあっという間で、そんなカメラを握ってから、短い時間では撮影イメージなんぞ浮かばない。どの写真も、現場に着く前にページ立てまでを含めたイメージが出来上がっていなければならない。現場では、長々と作業をしたくないからである。カメラを持ってうろうろする時間的余裕もない。そして現像後は、見出しを入れてページに仕上げてみる。それで、駄目だと思えば、また再じ場所へ足を運ぶわけである。この「また」というのが曲者で、いつしかそのまま忘れてしまい、時期外れになってしまうこともある。そうならないようにしたい。
 さてと、やはり、この季節の象徴的な花といえば梅になる。ここにあるのは、蝋梅(ロウバイ)という樹で、蝋に似た質感の少し透けた花が咲く。その花びらに充満した高い薫りは、寒い時期に乾燥した冬風にさらされ少しずつ溶け出し、遠くからでも虫達を呼び寄せる。近くに寄るだけで、そんな芳しい薫を放っている。オードトワレや香水にも同様の薫りの商品があるくらいで、この薫りに引き寄せられるのは、虫達ばかりではないようだ。他の木々と同じ時期に同じ動きをしていたら、種の存続が難しくなるからだろう。虫達が少ない時期だからこそ、高い薫りが必要なのである。ここの蝋梅は、既に花を咲かせているものもあれば、まだつぼみなのに、ほのかな薫りを放っているものもある。
 日本では、暖かさを実感する頃、一斉にぱっと咲き、春風に乗って散る桜を、昔から「潔し」として好まれる傾向があるが、蝋梅のように、寒い時期にじっと我慢しながら花を咲かせ、薫りを放ち燐として立つ姿にこそ、美を感じるとする向きもある。 いずれにしても、私にはそんな感性の持ち合わせはないので、この場所でしか撮れない、生き生きとして積極的で力強い蝋梅を追求してみたい。「この季節、右肩上がりに冬空へ伸びて、日差しに輝くつぼみ」という感じでまとめてみた。 どうかな。
ではこちら
http://cid-cfbf77db9040165a.skydrive.live.com/self.aspx/.Documents/%e3%83%95%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%83%a9%e3%83%ab%e3%82%ac%e3%83%bc%e3%83%87%e3%83%b3/%e3%83%95%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%83%a9%e3%83%ab%e3%82%ac%e3%83%bc%e3%83%87%e3%83%b32.pdf

 フローラルガーデンの最新情報や四季の花々に興味のある方は、こちらのアンジェブログも参考にしてほしい。
http://ange329.exblog.jp/