2010/03/05

優れた1冊

 良い本に巡り合うことは、人生のガイドになる事がある。特に健康や病気に関する本は、食事や生活態度まで変えることになる。確かに、良い本とは、読み終えた読者が判断することで、他人がとやかく言う事でもない。しかし、いくら良い本でも、自分の知識を拡張し、それを活かして実行環境に移せることも重要な要素といえそうだ。そこまで考えられている、つまり「理論と実践」をバランスよく備えた本は、普遍的な良い指導書とも言えるし、役に立つ本でもある。

 体は歳を重ねると、知らず知らずのうちに、年々好まざる方向へ追いやられてゆく。ただ、頭の中には古い良いイメージだけが残っていて、「自分にはできる」とか、「自分は健康で、それがとりえ」と思っている人も少なくない。これは、大変危険なことで、予想外の展開を生む事がある。丁度、去勢をした強い猫さんが、相変わらず夜中に縄張り争いに出かけ、興奮状態のまま「こんなはずではないのだけれど」と大怪我をして帰ってくるのと同じである。つまり、自分の体の状況を正確に評価して、正しい知識で、その年齢なりの注意をしながら、努力を惜しまないようにする必要があるようだ。

 実は、最近、年甲斐もなく甘い物を取り過ぎたようで、若い頃に比べて太ってしまい腹回りが規定値より2.5cmオーバーになってしまった(このような言い方が適切とは思わないが、自己ベルトを6cmも更新している)。その腹回り縮小のために、「メタボの解消法」を分かりやすく書いてある本を探していたのだが、できれば、健康診断の検査項目を分かりやすく掘り下げてある本もついでに買おうと思っていた。そんな折、健康コーナーの本棚にある幾つかのタイトルの中から、たまたま偶然にこの本を見つけてしまい、つい引き込まれて大半を読んでしまった。自分の目的はよそに、「本つくりの視点」から、この本は、取り扱うテーマとしても、構成としても、大変良く出来ていると関心したのである。 それが、今日紹介する「肝機能を高める知恵とコツ」である。

 実物を書店で閲覧してもらうとすぐに分かることだが、内容が理論的で読みやすいことは勿論なのだが、コンテンツの並びが優れている。肝臓の働き、肝臓の検査、食生活のありかたと調理の実例、ツボ刺激法、漢方薬と健康食品、酒との付き合い方まで、お酒のみの編集者が肝臓を痛めてしまい、そのために様々な改善法を徹底取材し、どうすれば、肝機能を高められるか、あらゆる情報収集と手立てを試し、その流れが紹介されているようにも思える程だ。この本には、50人近い先生方が係わっていて、多角的な視点を備えて信頼性も極めて高く、ここがとても安心できて良い。さらに、ページ立ては、さすがに老舗の「主婦の友社」だけあって、本作りのノウハウがふんだんに投入されている。特に、手作りの健康食のページなどは、手馴れた感じで、きめ細かい写真は素晴らしい。余計なことかもしれないが、多くのエキスパートを抱えていると、このような本が作れるのかと感心してしまうほどで、オールカラーと紙質も嬉しい。しかも、これを1,300円で販売できるあたりは、ちょっと他社には到底真似できそうもない。さすがに老舗の強みを上手く活かしている。

 主婦の友社には、ベストBOOKS というシリーズがあり、この本はその中の1冊のようだ。肝臓に係わる知識として断片的な、既に知っていること、知らないことが、よく整理でき、「うん、うん、なるほど、やっぱりかぁ、と昔から言われていることには根拠があるんだ」と理屈やその関連性にも納得感がある。まさに「ベストBOOK に拘る」だけのことはあると思える。ついでに、他のベストBOOKS も片っ端から読んでみたくなる。

 一般論として肝臓は、大人しくしているが決して特殊な臓器ではなく、まさに体の各ステージに適切な供給をする電源回路みたいなもので、この一部にでも障害が発生すると体全体に影響を及ぼす。お酒を嗜む方は勿論のこと、より健康で元気な毎日を過ごしたい方、綺麗にダイエットしたい方、ヒキガエルのようなお腹を抱えた方、さらに、病気が長引く人にも参考になる。是非家庭に1冊用意しておいてほしい。おっと、用意するだけではいけない。しっかり読んで、家族みんなで実践してほしいと思う。何せ1,300円だから。
ではこちら
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