前回、減圧・低温で煮詰める真空釜製造のジャムとマーマレードを紹介した。その製法は、既に手作りでは到達できない領域に達し、微妙な果実の美味しさを閉じ込めているといえる。一方で、それだけ、素材の違いが出やすい製造方法とも言えるため、逆に素材が不安定な場合には、ジャムとして「安定した品質を提供する難しさ」も存在していると推測できる。したがって、その果実の入手にこそ、同社の世界的な調達の枠組みが活かされているようだ。
このジャム群の全体的な印象としては、生の持つ美味しさを残しながらも、時間を掛けて煮詰めた昔ながらの食感とは大きな違いがある。この雰囲気に近い物を作ろうとすると、果実と砂糖を工夫して短い時間で調理すれば、それに近いものになる。自家製としては、それで十分美味しく戴けるが、日持ちはしないし、全国向けの流通商品としては不適合である。そういう視点で、前回紹介した果実実感シリーズは、商品としては、ある程度甘さを控えた食感であったし、果実の加工状態の粒粒感も良く残っていて、安定した商品になっていると思えた。
同社は、果実の持つ素材としての良さを引き出すために、この製造方法で、様々な果実を試してきたと伺える。今回紹介するのは、白いキャップの 1.福岡県あまおう苺、2.栃木県とちおとめ苺、3.青森県産ふじリンゴの3つのジャムと、4.宮崎県産日向夏のマーマレード1種である。そんな、国内産地と品種がわかるほどの製造技術なのかと疑問に思われるかもしれないが、きっと、生産者からは違いの分かる製造技術と賞賛されているに違いない。この素材の違いなら、軽く再現出来ると言わしめるほど、今日紹介する国産果実シリーズは、こだわりのある製品となっている。また、長い年月、真空釜製造のノウハウを積み重ねて来た事が理解できる。一方で、如何に日本の果実が、手間を掛けて美味しく作られているかも分かるのである。
前回の果実実感シリーズは、果実としての美味しさが残ったジャムと言う感じであったが、今回の国産果実シリーズは、ジャム自体の味にピュアーでストレートに果汁、甘味、食感が伝わってきて、素材の贅沢さがうかがい知れる。つまり、ここまで突き詰めれば、ジャムに興味の無い人でも美味しいと思うに違いないし、どのようにして作られているのかも知りたくなるに違いない。価格も50%程度高いので購入時には少々迷いが出るかもしれないが、今回の国産果実シリーズは、1度食べてみる価値はある。 食べ方は、そのジャムの味をしっかり味わう為に、ストレートにそのまま口にしてみてほしい。
ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%21656&app=WordPdf
補足 今回紹介できなかったが、ファミリータイプ(普通のタイプ)のイチゴジャム、ブルーベリージャム、オレンジマーマレードと3種類用意されていて、それぞれ糖度60度と甘く、390g入り300円がある。