2010/10/12

石榴(ザクロ)ジュース

 昔から「ほんまか?」と思うような話題が出る「ザクロ」である。こんなものが健康を気にする世代(以降:健康世代と略す)を騒がせてきたのかと思うと少し不思議に思える。そもそもザクロなんて幼い頃から親しんでいて、実家の裏の公園(二河公園)に何本か植えてあったのを思い出す。実が熟してくるこの季節になると、仲間と一緒にもいで(もぎ取って)食べた(トゲに注意)。自転車にまたがったままザクロを割って、種の周りにある果汁を吸引し、口に残った種を遠くまで飛ばす競争をするので、あたり一面ザクロの種だらけ。そして、ザクロは愉快な思い出になった。甘酸っぱい独特の味は、この時期しか食べられないし、今でこそザクロの社会的地位はそこそこ高いが、当時は、いちじく、柿やみかんと同様で庭で育てる果実として、決して珍しい物ではなかった。この背景にあったのは、やはり農業国日本の名残であり、食料自衛の一環であったと思われる。それは、畑がある農家だけの話に留まらず、猫の額ほどの都会の家の庭でもみかん、いちじく、ザクロや柿を植えていたのである。勿論、現在でもそのような習慣は残っている。また、都会の公衆公園でも同じ様に果実が実る木を植えている地域も多い。

 一方でザクロは、木材としての評価はすこぶる高かったようだ。床の間で花を活けながら母は、背後の私に自慢そうに「あんたあ、これはねえー、ええザクロの木よ」と声をかける。私は、「あの赤い粒粒の実が成るザクロ?」と興味のない話のような振り(もいで食べてることは極秘事項)をして聞くと、「ほうよねえ~」、続けて話を聞く 「何で、そがいなものを床の間に使うんね」、「そりゃー、硬うて、強いけんねぇ、えんよー」。・・・・ 母は材木屋の娘であった。 硬くて堅牢、磨けば艶が出るが、加工は難しいとされていたらしい。そんな普段の会話の中から、ザクロの木は強く、とても大きくなる木と承知していたのである。私の「ザクロ」の知識は、残念ながらこの小学生時代から全く変わっていない。

 さて、それでは、健康世代の人がザクロの何に魅かれたのであろうか?。それは、大まかに申し上げて2つある。1つは、ザクロには女性ホルモンのエストロゲンに似た成分を含んでいるということ。これは、不妊、更年期障害、外見の若さを保つ、などに効果があるとされ、女性には重要な食品になる可能性がある。もう1つは、前立腺肥大、前立腺癌に効果が認められたと言う話である。こちらは、50歳以上の男性には朗報といえそうだ。そのほか動脈硬化に効果があるとか、抗酸化作用も強いとか、中高年向けの健康食品的な話に言及しており、男女を問わず特に50歳以上の人達が興味を引くのに十分な内容である。しかし、それらが有能な研究者の報告から得た情報とするならば、もっと正確な情報になっていると思われる。例えば、どの種類のザクロで、実、皮、種など、どの部分で効果があったか、あるいは、どのような条件下で効能が認められたのかをもっと鮮明にするはずである。そういう意味で、今ひとつ根拠に不鮮明な部分が多く、全てにおいてにわかに信じ難たい側面を備えているのである。ザクロの効能に興味のある人は、ぜひ調査・研究して欲しいが、私としては、更年期障害でもないし、前立腺肥大でもないので、今日の取り扱いは、あの懐かしい味を口に含んでみたい欲求を実感したいと思っただけのことである。そこで、最近急激に人気が上がっている「ザクロ・ジュース」なるものを買ってきた(750円/本)。ためしに飲んでみることにしたい。

 どういうわけか、独特の酸味は無くなっていて、印象より甘かった。少し、甘すぎるかもしれない。だから、確かに懐かしい味だとは思えるが、さすがにジュースだけでは「ザクロ」と言う感じは希薄になる。強い酸味や歯ごたえも記憶の一部なのである。さて、今日のpdf 写真の「ザクロの枝」は、近所の農家で分けていただいたもの。昔から、近所に生け花に使う先生がいらして、この季節は「ザクロを専門に使うらしい」と話してくれた。まだ、実は若く小さいので食用には向かないが、記念写真のつもりでフレームに入れてみた。デパートや果物専門店では、もっと大きくて真っ赤な、あるいは、真っ黒なザクロが販売されている。そちらは美味そうだ。
ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%21795&app=WordPdf

 補足1 ここで言う「健康世代」とは、健康にやや不安を持ち、何かと体に良いとされるものに執着する世代のこと。特に、まだまだいけると思っている50歳以上から、やや諦めムードの漂う65歳ぐらいまでの年齢で、体調が今ひとつという人達を指す。

 補足2 ザクロに関する臨床的な報告で、信頼できると思える記述は1つとして見つけられなかった。