2010/10/19

鬼太郎茶屋

   
    「ゲゲゲの女房」という朝の連続テレビ小説の影響はとても大きく、我々のような古い世代の妖怪ファンをも懐かしがらせ、さらに近頃は子供達からも絶大な人気で、ついつい調布までお出掛けになる家族連れも多い。調布駅前から天神通りには、その妖怪たちのモニュメントが待ちうけ、監視の目を光らせている。また、調布駅と布田駅に程近い旧甲州街道沿いに、この妖怪たちのグッズを販売したり、資料を公開している「調布市観光案内所ぬくもりステーション」があり、一通り妖怪たちの履歴や得意技を知ることが出来る。妖怪たちとは、ゲゲゲの鬼太郎を筆頭に、水木しげるさんの表現する妖怪の世界のキャスティング達である。それぞれ特徴があって、適度に個性的で怖いが、やっぱり懐かしいと思えるような、幾つになってもそこには微妙な距離感がある。

 この、我々と妖怪たちの間にある、磁石の同極に作用するような微妙な距離感こそが、水木しげるさんの表現する世界なのである。日本昔話に出てくるような妖怪は、徹底して分かりやすい悪柄で、子供を食べてしまったり、人を騙したりと、何処までもその距離を広げてゆきたい気分になるが、ここに登場する鬼太郎率いる妖怪たちは、知的で正義感が強く、義理人情にも厚く、みんなが力を合わせて社会をよくしようとする優れた妖怪たちなのである。もちろん、知的な妖怪なので悪戯は大好きである。しかし、妖怪なのに命がけ(死なない)で人を救うことに挑むこともある。そんな時、ぐぐっと彼等に近づきたいと思うわけである。

  今日紹介する鬼太郎茶屋は、この妖怪たちにまつわるグッズを数多く採り揃えたお店であるが、妖怪たちと一緒に遊びほうけるエリアとして、子供達にとっては妖怪の館になる。どこまでも怪しげな外観と風貌で、深大寺の門前という場所にあって異色を放っている。昼間、多くの子供達は深大寺参拝をそっちのけで、妖怪グッズを求めてここにたむろし、その中で自然に妖怪と同化してしまう程、右を向いても妖怪、左を向いても妖怪、上を見上げても妖怪、隣の人も妖怪と、楽しい時間を過ごすのである。そんなこともあって、夜は、この深大寺周囲一帯の店舗には、誰一人として残っていないはずなのだが、この鬼太郎茶屋だけは、人がいなくなってから深夜にまで、妖怪たちが集まり「売上げ促進会議」が催される事がある(PDF写真参照)。

 お店には、島根県境港市の本社から提供される、島根県の独自の20世紀梨のソフトクリームや、大山(だいせん)白バラ牛乳のソフトクリーム(各350円で、とても美味しい!)に始まり、そのほか目玉のおやじまん(120円)、じゃころっけ(150円)、お土産には、下駄すごろく、目玉餅などもある。喫茶コーナーには、ぬり壁の味噌おでん(350円)、目玉オヤジの栗ぜんざい(500円)、目玉オヤジのクリームぜんざい(700円)、壁オーレゼリー(400円)、妖怪クリームあんみつ(500円)、砂かけ寒天(400円)、妖怪抹茶セット(500円)、一反もめんの茶屋サンデー(700円)など、ほとんど妖怪の愛称が付けられている奇怪な甘味品が揃っている。お父さん向けには、鬼太郎ビールなども用意されているから大丈夫だ。
ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%21809&app=WordPdf

補足1 上の写真は、日中は高い位置(店頭前)から、この深大寺門前の道を監視している。鬼太郎と目玉オヤジは、妖怪達が人間に化けてバスから降りてきたりするところをすかさず見付けておき、悪戯をしようとするとすぐさま懲らしめるのである。

補足2 妖怪たちは、平素シャッターや壁の中に隠れているため、動き出すことは出来ないが、丑三つ時には開放されるので、抜け出して深大寺の周囲を歩き回る事が許されているという。