お昼にブイヤーベースか牛肉の赤ワイン煮のランチを食べに行かないか?この11月の最終週28~3日は6周年記念のメニューだという、私には、どちらも魅力的だと思う誘いが飛び込んできた。なのに、そのランチ価格は平常と同じ1000円。サンプル程度の少量かもしれないが、パンとかスープ、珈琲(または紅茶)等も付いてくるらしい。むしろ、いい加減な物が大量に出されるより好感が持てる。場所は浜松町で、新宿から神田へ出る途中に寄れることから、早々にお店に予約を入れてもらう事にした。そのNGUYENは、JR浜松町駅の北口から目の前の信号を渡って2分程度の距離で、路地に入った中程にあった。それは、大都会の喧騒の中に、ひっそりとたたずみ、小豆色の建物に白い窓枠が印象的で、シックで綺麗なお店であった。
内部の席数は1階、2階それぞれ10組程度で、喫煙と禁煙で階が分かれるらしい、その限られた空間は秘密の隠れ家的な印象を受ける。昼夜を問わず、美味しい空間に浸れそうだ。殆どが女性客で、みなさん話し声も小さく、時折ホークやナイフがお皿に接触する音が小さく響く程度。夕方からはワインなどを傾けながら、ゆったりと時間の流れを楽しむのも良いかもしれない。このようなお店がランチに力を入れるのは、それなりの大きな宣伝効果があるからだ。浜松町と言う場所で、お店の活性化を図るには、常に新規顧客の開拓を心がけなければならないし、常連客からは「何を食べても、いつも美味しい」と信頼されなければならない。料理のベース作りがしっかりしていることは当然だが、飽きのこないバリエーションの豊富さも重要な要素になる。そのあたりに、この店の工夫と徹底ぶりが感じ取れる。
さて、たっぷりとお昼を戴きたい向きには、ランチの量としては物足りなさを感じるかもしれないが、料理は間違いなく美味しく味わい深い。手の込んだ仕事で、文句のつけようがない。やや家庭的な雰囲気もあり、女性に人気が高いのもよく分かる。自家製のパンは焼き立てで美味しいし、多少の胃袋の大きさの違いは、このパンによって調整できそうだ。勿論、軽い昼食を願う女性達には丁度良い量だと思えるし、一寸だけで美味しい物をと考えている年配の人にも最適である。しかし、それでも物足りなさを感じるようだと、夕方の仕事帰りに寄ってみればよいわけで、この規模のお店としては、堅苦しい感じもなく、丁度良い空気感が漂う。ブイヤーベースの魚の仕事を見ても、的確な調理技術の裏づけを持ち、細かな部分にまで徹底した調理法を伺わせるところが、都会の中で女性の人気を集めている理由なのであろう。
そして、最後にお勘定を済ませてお店を後にした時、どのような印象が自分を支配するかが重要なのである。このときの印象が再び訪れるエネルギーになる筈だ。もっとも、その日のメニューによっても違いがありそうだが、今日のメニューの、ブイヤーベースも牛肉のワイン煮も、いずれも納得できて、今週は、3日は来てもよさそうだと思えるのである。お店の雰囲気もよく、接客、器やお皿の統一感から満腹感というより、むしろこの店の流儀に納得出来ると思う。特にお皿の模様には、どこか強く魅かれるところがある。この模様が、お店の名称とか、料理の地域性とか、味のまとめ方とか、歴史的な中にも新しさを感じ、それらが漠然とした一体感に繋がっているところも心地よいのである。
ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%21847&app=WordPdf
補足1:NGUYEN とは、ベトナムの王家の姓に由来しているらしい。そういわれてみると、少しアジアンな印象が漂う。
補足2:NGUYENの前を出て、広い通りを左に行くと、旬彩 本濱(和食の店)を見つけた。WEB検索で何かのついでに拾ってきたのを読んだ記憶がある。このお昼の定食が1,200円でめっぽう安くて美味しいと言う話だったと思う。いつかこちらもレポートしたい。