2011/04/19

支援を戴いた国々へ

  福島第1原発から放射性物質が大気中や海へ放出したことについて、隣国の韓国では、「日本に損害賠償を請求すべきだ」との声が上がっているという、併せて、北朝鮮の国営メディアからは、「制裁」という表現もなされているらしい。損害賠償は、あくまで「直接的な被害の確認」がなされないければ法的処置をとることはできないが、一方の、北朝鮮の「制裁」と言う言葉は、意味深んで、こちらの文言の方が日本政府にとって手痛い話である。それは、恐らく放射能汚染水の放出に関して、事前通報がなかったことを批判していると思えるし、やはりその行為そのものが「責任を問われる事実」だからだ。

  確かに、誰でも隣の火事は怖いのが本音である。そのこと自体を責めることは出来ない。そういう意味で、隣国には、これからもまだ大変な迷惑をかけるかもしれないので、政府には配慮ある情報発信を望みたい。一方で、放射能の影響が届かない、遠くの国々からは、たくさんの支援を戴いているようだ。全世界の反応は日本との距離や経済的な結びつきによって大きな違いが出ているようである。これも、過去の日本の支援に応えるものから、経済的思惑まで様々だとは思うが、あまり「うがった見方」をぜず、素直に感謝したい。

  その最近の例を紹介すると、クウェートは、18日東日本大震災の犠牲者に哀悼の意を表すとともに、日本との連帯を示すため、原油500万バレル(420億円相当)の無償提供をすると発表した。とてもありがたい話と言えよう。ちなみに、それは日本国内の石油関連消費量のほぼ1日分と言われている。また、ロシアは、日本に追加供給する液化天然ガス(LNG)の第1船(65,000トンを積み)約1週間かけて18日東京湾に到着した。震災翌日の3月12日にプーチン首相が、LNGや石油などの供給増を直接指示していたと言われている。手配に当たったロシア国営企業ガスプロムは、「日本が困難を迎えている今、私たちは求められれば、さらに支援を行う」とするメッセージを寄せたらしい。
 
 本来ならば、このように支援を戴いた国はもとより、勿論そうでない国、あるいは隣国に、どうやって、その気持ちや不安に報いるかと言えば、今は「災害を受けた地域の現在の状況を、いち早くお知らせする」ことでしかない。特に原子力発電所の現在の状況を、国内、国外の境界なく、数時間おきにでも国際メディアを通して、全世界に「正確な情報」を発信する使命があったはずである。それこそが「日本の礼儀」ではないだろうか。その意味で、現在の日本政府は国際社会の一員としての役割を十分に果たしていないし、各国の支援の気持ちに応えているとはいえない。

 誰が何と言おうと、日本は唯一の原子爆弾の被爆国であり、放射線の怖さを知り尽くしている筈である。だからこそ、注目もされているのである。被爆国という自覚の上で原子力発電を推進したのではなかったのか。情けないが、日本の原子力行政のいい加減さが露呈してしまっている現在、世界に向けて、我々が選んだ政府は、今回の放射線被害を「他人事として捉えているようで」申し訳ないと謝るしかないのか?そして支援を戴いた、「ありがたい国々」へはどうやって報いればよいのだろうか。その国々の一覧が外務省のホームページにあったので紹介しておきたい。支援内容も書かれている。ただ、必ずしも裕福な国ばかりではない、頭が下がる思いである。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/saigai/pdfs/bussisien.pdf

補足:うがった見方→その事に関してさまざまに臆測して、異なる意味があるように受け取ること。色々とせんさくして、たくみに言い当てたり、真相を解明しようとする視点。