2011/06/24

IBM EXP-400

 高速ディスクシステムを使いこなしたいという願望は、コンピュータを触っている人達には、強い欲求にも似た一種の憧れでもある。背景は、「処理が早いという実感」を得たいのである。何かにつけて、スピードを求める気運はあちこちに蔓延しているのである。しかし、実は異業種のプロの写真屋さんはもっと注目している。彼らには商売上切実な問題がある。毎日2110万画素でRAWファイルを山ほど撮影してしまうと、処理や保存に時間がかかって仕方ない。そこで、こういう高速ディスクシステムを使えば快適だろうと考えているらしい。ただ、単独では動かないので、利用しようとすれば、結構な出費になるが、スピードという点の快適性は群を抜くし、壊れたディスクを稼働中に交換できるという意味では信頼性も高い。一口でいえば、最近のプロのカメラマンには必須の設備と言うことにもなる。また、他にもコンピュータを使って成果を求められる職業の方は、この手は生産性向上につながるのである。

 知り合いの写真ファンがそのような話をしていたので、あー、あー、と初めて聞くような顔をしながら、それで「SUNのStarAdge D2 の紹介ページ」が3位にまで上昇したのかと密かに納得したのである。やっぱり、あんなプロ用機器でもお好きなマニアがいらっしゃるのである。そんなことなら、是非任せてよ、と言わんばかりの意気込みに変わったのである。写真ファンには、SUNよりIBMの方が使いやすいので、今日は、発掘の進んでいる古典的な機器の中からEXP-400を紹介したい。このEXPのシリーズは、100、200、300、400 と続いてきて、すでに数年前に生産中止になってしまったが、最近のものは、ディスクのインターフェイスが変わっているとか、ServeRAID Manager が少し違うぐらいで、基本的にはあまり変わっていない。ただ、流行はディスクが3.5inchから2.5inchへ小型化へ進んできて、サーバー本体内にRAIDの実装が進んでいる。

 さて、EXP-400 は、サーバー側にIBM RAID6MというRAID専用カードを経由して利用する。IBMサーバーのPCIスロットに導入し、OS上でWindows用、もしくはLINUX用のServeRAID Manager を使い、画面上をマウスを動かして簡単にRAIDを構成できる。サーバー側は、IBM以外は未確認である。本体は、後部に電源装置2個、インターフェイスも2基、前面にU320 3.5inch ディスク最大14本搭載できる。300GBのディスクを使ったとしても、RAID5EEで、おおよそ3TBの容量。容量自体に魅力は感じられないが、2本ぐらいホットスペアにしておくと、いずれのディスクが破壊されても、自動的に切替り運用を継続できる。そのうち時間のあるときに破壊されたディスクを交換し、再びホットスペアに設定しておけばよい。そうやって、楽な運用に浸れるわけである。

 1つ注意するとすれば、こんなことがあった。昔、納品したばっかりの病院のシステムで、SUNのA1000のディスク1本のランプが点いたままになっているという話を聞いて、現地の保守会社に確認を頼んだことがある。そしたら、何を勘違いしたか、ランプが点いたままのディスクをスロットから抜いてきたという。これには困った。壊れていることが分かればよいだけで、ディスクを抜いてしまうと、ディスクシステムの内部を流れる空気がそこに集中してしまい、他のディスクが冷却されない状態になる。実は、これが最も危険な状態であることを保守会社の人は知らなかったのである(専門と言いながら専門ではなかった)。つまり、このような機材を保守・点検するには、それなりの経験がないと、より危険な状態を生むと言うことである。
ということで、こちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%21974&app=WordPdf

補足1:ディスク→IBMの認定ドライブが必要。ドライブに貼られたシールにeServerというマークと部品番号が明記されている。これ以外のドライブを挿入しても、ServeRAID Managerが認識しない。
補足2:注意すること→導入初期の1か月は何事も気をつけた方がよい。
 誰でも、障害など起こるはずはないと思っているから、障害のようなふるまいをすると、何かの導入ミスのように勝手に判断し、触りすぎて傷口を広げたり、勘違いで、何度も設定を繰り返して再起動をしたりすることがある。外部から電話回線などで侵入が出来るようになれば、どこからでも正確な情報を得たり、対処方法を検討できるが、それまでの短い期間は、正しい知識と手順を何度も確認するように心がけたい。