2011/06/13

IBM Xeon2CPU Server 345

 サーバーを放置した部屋の片づけは続いている。今日発掘したのは、リモートアシスタントカード2枚とIBM サーバー345である。時間が経過し、既にその価値が無くなったものが発見されるとき、私はそれを発掘と呼んでいる。このリモートアシスタントカードは、サーバーのハードウエアの状況を、ADSLや電話回線などによって、遠くからでも監視できるように考えた一種のコネクタに例えられる。サーバーと言えば、一般的にチカチカ光るHAL9000のような大型のコンピュータを連想するケースもあるが、一方でサービスを提供する実体を総称してサーバーと呼ぶこともある。たとえば、身近な物で言えばコーヒーサーバー等もそうである。そういう意味で、このリモート・アシスタント・カードは中味は一種のサーバーで、コンピュータ管理の裏方さん達が利用する重要なキーデバイスなのである。

 さて、このリモート・アシスタント・カードは、Power PCを使用してコンパクトに仕上げられたボード・コンピュータである。これを、IBMサーバー345の指定されたスロットに挿入して機能させる。もともと、IBMサーバーには、古くからシステムの管理プロセッサが搭載されており、ハードウエアの稼働状況を監視している。したがって、障害発生時には、サーバー前面のインジケータ部にアラートを表示する。しかし、コンピュータ管理の裏方さんにとってみると、そんな大きな障害が発生する事前に、何らかの対処をしておきたいと考えているので、そのシステム管理プロセッサへ、リモート・アシスタント・カードから主要なファンクションを使用して、定期的にメンテナンス用のサービス・ルーチンを実行させている。

 ミッションクリティカルな作業を繰返すネットワーク上のサーバー群は、あくまで5~6年は、シャットダウンなしで継続稼働を目指すことが普通である。そのために、それらのサーバーの稼働状況を1つの管理サーバーに、時刻と変化する検査結果をデーターベース化して統合しておく仕組みが採られる。そうやって、システム全体の監視を容易にしながら、サーバーの障害の原因とも言える細部まで掘り下げ、詳細を把握するという柔軟なシステム管理が行われるのである。今日発掘された、このカードは1枚10万円程度だが、管理するサーバー台数分必要ということになる。また、それらの情報をデーターベース化して管理するためのサーバーも用意する。さらに、それらを監視する人たちの費用など、意外に表に出ないコストがシステムの重しになる仕組みであった。

 大概の場合は、そういうシステム管理を外部の「専門の管理会社」が行うが、システムが存在する限り継続して管理会社に費用を吸いとられる。そこで、最近は、ハードウエアの故障率の低下と、自動メールによるアラート発信(障害予測による部品倉庫への自動メール送信)などの組合せによって、ハードウエアの障害によるトラブルは激減してきたが、これは、メーカー自体が保守契約を受託するようになって、さらに加速した。つまり、かつては、障害発生箇所の特定と、その部品の調達に時間がかかるとか、詳しいチェンジニアが不足していた事が、その主たる原因であったが、メーカーが社内の仕組みを変えることで、保守契約環境が大きく改善したのである。コンピュータ・メーカーはリストラをしても、行先あるといわれる由縁がそこにもある。しかし、その変化に追従出来なかった専門の管理会社は大幅に減っている。

 さて、今日のPDFの写真は、IBM サーバー345の背面で、リモート・アシスタント・カードがそのスロット5に装着された状態。その手前に、同じカードを上向きに寝かせて撮影している。当時からとんと影が薄くなっていた Power PC CPU が見えるが、こうやって様々な分野に用途を広げていたようだ。写真のカードは、今でも全く問題なく使用できるが、残念なことに古典的すぎて他との整合性が薄い。そうやって、最近は時代の変化の速さを肌で感じる事が多いのである。
ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%21962&app=WordPdf

補足:HAL9000→「2001年宇宙の旅」に登場する人工知能型コンピュータ。HALとはIBMのひとつ前のアルファベットを組合せて、IBMより1つ進んでいるという意図があるらしい。
チェンジニア→交換する人のことを言う。かつては、最先端のエンジニアであった人たちで、昔だと半田コテやアナライザをもって現場へ急行したが、今は口先と交換部品のみの持参で済ませる人たちのこと。さらに最近は、宅配便のドライバにその職を奪われつつある。