2011/07/31

IBM eServer 336

 前回の4Uに対して、今日は、割と最近の1Uの薄型サーバーである。内部に実装する部品が小型化されると、必然的にこのような形になるという、一種の進化を感じさせる構造である。稼働中の音も4Uの「ゴーッ」と鈍い音から、「キーン」と戦闘機の排気音のような高い音に変わった。スペース的に高さは1/4になり、同じスペースに4台積み重ねることが出来るが、この高い音に嫌気して同じ部屋で長時間作業するのは辛いというチェンジニアは多い。そこがこの1Uサーバーの決定的弱点だが、質量が比較的軽量なのでメンテナンスやシステムの入替えには都合がよい。車両から降ろして一人で遥か彼方のサーバールームまで、小脇に抱えて移動できる便利さは、何物にも代えがたいと思える程だ。また、同じ性能なら、使用するスペースが1/2、1/4、1/8など、どんどん省スペースになるので、システムインテグレータには色々と都合がよい。

 この1Uサイズサーバーへのディスク装着は、2/3インチサイズなら、おおむね2本は入る。1/2インチサイズなら最大4本と決まっていてパラレル、シリアルを問わずSCSI または シリアルのATA が使用できる。どうも、実績から来る信頼感とは、そうたやすく新たなディスクを採用されるものでもないらしく、現在でも相変わらず15K U320ディスク2本入りで稼働している例も少なくない。さて、今回のこのIBM eServer 336は、シリアルATAディスク2本をブートに使用しミラーリングしてある。外部へは、SCSIのPCI カードのServe RAID6M を経由してEXP-400と組合わせることも可能になっている。たとえ、薄型サーバーでもPCIスロットの数が許す限り柔軟に1人前の仕事をこなすことが出来る。その他の接続可能な外部ディスクシステムとして、PCIホストアダプタを介してファイバーチャネルのDS-400、iSCSIのDS-300(スイッチモジュールを経由した接続)なども使用できる。

 CPUは、3.6GHzのX-eonを最大2個搭載している。また、後日、デュアルコアを装着したモデルもラインナップされた。その程度の古いモデルである。CPUの後部には、DDR2 PC2-3200 Chipkill RDIMM用のメモリースロットが用意され最大16GBまで増設できる。PCIスロットは、2本用意され、PCI-X スロット1がハーフサイズの64bit-100MHz-3.3V 、PCI-X スロット2がフルサイズの64bit-133MHz-3.3Vである。585Wのホットスワップ電源ユニットが最大2個挿入している。その他、背面入出力端子には、イーサネット用2口、キーボード、マウス、USB 2.0 2口、シリアルポート、モニター出力等と一通り揃っており、用途を問わず誰にでも使いやすい。

 保守点検用には、例のリモート管理用のアダプター の小型版であるリモート管理アダプターII SlimLine x が装着できる。これによって、24時間フルタイムのリモート・アクセスを提供する。そこで、リモート管理アダプター II SlimLine 導入時に気をつけることとして、Windows2000の下で使用する場合は、Windows2000の導入を終了した後、デバイスマネージャーの中でキーボードのデバイスドライバーを"English 101/102 Keyboard"から"Japanese 106/109 Keyboard"に変更する必要がある。この変更はServerGuideを使用してOSの導入を行った場合も例外ではない。

 まとめると、IBMのX86 PCサーバーは、本体の種類が豊富に揃っていて、使用するディスクや導入目的が決定さえすれば、本体が必然的に選択される。つぎに、多種なPCIのボードや多様な周辺機器を組合わせてハードの構成を完成できる。そして、最後にServerGuideでソフトの導入を完了するといったプロセスで、何も苦しむことはない。つまり、機種決定から導入・構成までを誰にでも簡単に実現できるという、専門的な知識を用いないでも、手順さえ間違えなければ 「今日からあなたもITエンジニア」といった感じである。また、6年間の保守契約を締結することで、障害発生時にも、障害の解決のための納得のゆく説明に留まらず、システムコンサル的な要素にまで親身になって支援してもらえる。また、稼働中の障害発生頻度も極めて少なく遠方で監視するには都合がよい。
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補足1:ServerGuide:OS導入用に作られた専用ガイドCDで、IBMのデバイス用にOS別にドライバーソフトを保存してあり、導入時にOS毎に必要なドライバーを適用したり、ユーザサイドで構成する要素を選択するだけで実装を完了するなど、素早く希望のOSを導入できる。勿論、OSディスクは同時に用意する必要性がある。