先日、写真撮影で頻繁に使用するEF28-70mmF2.8Lの構成レンズの一部が、70%ぐらい白濁してしまった。製造メーカーのサービスに出すと、「交換部品がないので修理できません」という定型の文章と共にそのまま帰ってきた。あたかも、「ああ、これね、これは直せないってことで処理」と言った感じである。受付の担当者は慣れた言葉遣いで、「そうですよね~、困りますよね~」と、明るい社交辞令が添えられた。いや、確かに16年前のレンズなので、邪険にする気分も分からなくもないが、もう少し何かその白濁の原因というか、「2週間程度の期間で、一挙に白濁現象が現れる理由」を知りたいと思ったのである。16年経過した窓ガラスが自然に白濁したのと同じ驚きである。
インターネットの検索で「EF28-70mm f2.8L 白濁」で検索してみると、「あらら」と呟くほど同じ現象が発生し、それを修理してもらった記録まで見つかった。この現象は、ガラスを張り合わせるバルサム(合成樹脂)が剥がれはじめたものらしい。あくまで「・・・らしい」ではあるが、それならキヤノンが昔発行していたレンズの技術本で読んだことがある。バルサムは、2枚のレンズを貼り合わせて1枚のレンズとして使うための、いわば接着剤である。数年前から多くのユーザーが同じ現象に悩まされていたようで、修理をお願いできそうな会社も簡単に見つけられた。ただ、問題は、私のレンズの現象もバルサムの剥がれかどうかである。
早速、修理してもらえそうな「YCS大阪」という会社へメール出し、レンズ本体を送って調べてもらうことにした。しかし、その時考えたのが、このレンズが他の原因で修理出来なかった時の不安である。このレンズの後継モデルとして24-70mm f2.8L(220,000円)が出ており、焦点距離的には余りあるので、買い足してもよく、ある程度覚悟も決めておくことにした。2週間ほど経過した頃、やはり「中レンズのバルサム切れのため、外注レンズメーカーにてバルサム加工を行ないます」との連絡をもらった。しかも、手間のかかる分解修理なのに案外安価に(30,000円弱)修理してもらえることになった。修理できない事態になればなったで、それも周囲に大義名分も立つことから、なくなく・・・と、かすかな期待を寄せていたのだが、それでも、手持ちの他のレンズとの色調合わせや振幅変調度の統一感を考えると、やはり、今更機材で悩まず、まだまだ、そのまま手持ちレンズで継続したい。1週間後、丁寧に磨きあげられて戻ってきたレンズを見て、やはり、修理してもらえて良かったと実感している。
発売して16年後に突如現れた、奇怪なお騒がせ現象だが、最近はバルサムは使わず透明な接着剤に変わったので、このような現象は起こらないらしい。今日のPDFは、そのEF28-70mmf2.8Lのレンズ白濁時の撮影と、同じ被写体を70-200mmf2.8で撮影した写真を並べてみた。若干、焦点距離が異なっているかもしれないが、白濁現象はこのような感じである。この程度の白濁感だとまだコントラストの調整で修正できると思われるかもしれないが、時間とともに白濁は広がるし、もっと透明度が下がる筈である。同じEF28-70mmf2.8Lをお使いの方は、今後同じ現象が発生する可能性が高いので参考にしてほしい。少しでも黒が浮いた画像になった場合は、レンズをマウント側から覗いてみるとよい。はっきりと目視で確認できる。
ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%211035&app=WordPdf
補足:PDF写真は、枠内に添付されているグレースケールの黒と、黒から2番目が区別できるように、ディスプレイのブライトを調整のこと。