2012/03/27
極めた味
今、家族の食事を分担するリタイア組みのおじさんが増えている。元々、手先が器用で「包丁を不気味に使いこなすこの手の達人」は、喜んでそれを買って出るらしい。一方で、「男の人が作る料理と言うのは、高くついてしょうがない」とも言われる。テレビで、鰹節は一本釣りに限ると言われれば、早速高知へ飛んで幻の鰹節を手に入れて、帰りに四万十川の鰻を食べてきたとか、昆布のいいのが採れると聞けば、北海道の日高まで探しに行き、ついでに蟹を腹いっぱい食べてくる。椎茸ならやはり大分だよねと言いながら、ついでに日替わりで温泉地獄に浸かってきたとか、食材の本場へ出向くのはいいとしても、交通費だけでもままならないのに、時間だけは無尽蔵にあるために、その逸脱行為にお金がかかるのである。そんなにお金を掛けて、「この味噌汁一杯でっか?」と思うわけである。そうやって、年に何度もそんな味噌汁を作ってもらっても、家族はちっとも嬉しくないのである。
どうせ、食べてしまうのだし、たくさんは食べられないので、少しでも高品質で美味しい物を集めて腕自慢したいと、日ごろから情報収集に努めているわけである。ところが、サスペンス・ドラマの影響か、テレビショッピングに洗脳されたか、あるいはグルメ番組にそそのかされたのかわからないが、それらが混然一体となって妄想が広がっていくのである。たとえば、特上の昆布と聞くと、それなら北海道、行くなら列車、列車の中の殺人事件とくればアガサ・クリスティか西村京太郎である。そこで、事件に巻き込まれて、自ら謎を解き明かすために、寝台特急に乗車しなくてはならない。
そうやって、たかだか昆布を仕入れに行くのに「北斗星」のA寝台を使うことになるのである。おまけに、キヤノンのCMを見ながら「趣味なら本気かあ!」とついでにサンニッパでオホーツクの流氷を撮りたいとか、帰りは登別温泉で2泊するとか考えていると、つい「ドリフターズのいい湯だな」の旋律が口から洩れたりする。そこで、周囲に気付かれ「何かお父さん怪しい!」とか言われる訳である。そうやって、多かれ少なかれ、そのような逸脱行為を潜り抜けることによって、男の料理は次々と開発され、本人しか味わえない専門性の高い満足感と、人生観にも似た奥深い味わいに仕上がっていくのである。
今日はそんな料理の達人に、全国各地を飛び回らなくても、それに匹敵する旨味を引き出して美味しい味噌汁や煮物が出来る「和風だし」と「風味調味料」のパックを紹介したい。前者の和風だしが「銀色のパッケージ」に入った「珠味」で、鹿児島産の本枯鰹節・荒節、道南産の天然真昆布、大分産の原木栽培椎茸を原材料にして作られている。また、後者は「金色のパッケージ」に入った風味調味料「味彩」で、こちらは、焼津の本枯れ鰹節、熊本のうるめ鰯、長崎の鯖節、宮崎の原木栽培椎茸、利尻の天然昆布を使って調合してある。このだしパック1包を水500ml~700mlで煮出すことによって、味噌汁、吸い物、うどん、蕎麦などのだし汁に使ったり、煮物のだしにも使え、一流板前の味を家族全員がくまなく楽しめることになる。
今日はイトーヨーカ堂で「かぶ」を見かけたので、この出汁パック1包を使って「かぶの味噌汁」を作ってみる。かぶは本来、お漬け物の様な歯ごたえや旨味を期待してしまうが、火を通し過ぎると柔らかくなってしまうので、その調整に注意が必要である。まず、あらかじめ出汁パック1包をアルカリイオン水300ml 相当で一晩寝かせて常温で出た出汁を用意する。かぶの味噌汁は出汁が濃くなくてはならないので水量を少なめにする。そこへ味噌を加える。次によく洗って裁断したかぶと、出汁入り味噌汁の両方を器に入れ、電子レンジで2分程度加熱する。それで出来上がりになる。そのまま120秒程度放置してから戴くとよい。たった数分でこれだけの美味しい「かぶの味噌汁」が出来る。一般的にはかぶは白味噌との相性が良いが、私は逆で普通の味噌に八丁味噌をブレンドしている。
ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%211117&app=WordPdf
補足1:「北斗星」とは、上野から札幌まで走り抜ける寝台特急列車のこと。
補足2:サンニッパ(328)とは、今、一番人気のあるキヤノンの焦点距離300mm 明るさf2.8の大口径望遠レンズのこと。
補足3:経験的に、出汁の常温抽出にはアルカリイオン水が適している。
補足4:出汁パックは、煮出せば2~3分で出汁が採れるので、特に一晩寝かせなくても良い。