2012/06/12

グリコ PREMIUM RICH ヨーグルト


  つい先日、巷の美味しいヨーグルトを話題にしたばかりだと言うのに、ついにあの、震災後に市場から忽然と姿を消した、グリコ乳業㈱の「贅沢フルーツミックスヨーグルト」が名称を変えて戻ってきたようだ。もちろん、「贅沢アロエヨーグルト」も、同じ容器で発売になっている。最初気がついた時には、容器の大きさやデザインの違いによって、「なんか似てる雰囲気」を出しているのだがと、疑いの眼差しだったが、いざ口にしてみると、何と食感、甘さ、フルーツの種類は「かなり酷似」していた。まったくもってそのまま「贅沢フルーツミックスヨーグルト」だと思える。ただ、一寸だけフルーツの種類か裁断の大きさなのか、何かが違うような印象がある。同時に比較出来ないので、その感触が何か良くわからない。

  あまりケチをつけるつもりはないが、以前の、「贅沢フルーツミックスヨーグルト」は400gで298円だったが、「PREMIUM RICH ヨーグルト」は、250gで198円である。やや、割安になっていた。それが最初の印象である。しかし、実はこれが今日の話の主題ともいえるキーだったのである。恐らく、名称や容器を変えるということは、中味も含めて色々検討した結果と推察される。メーカーとしては、人気商品だと言うことは十分わかっている筈なので、中味の品質は変えたくないのが正直な気持ちだったと思う。仮に変えてしまうと、発売後、企画担当者は、毎日、胸に辞表を挟んで「売上げ数字」を見なければならないし、もちろん「売上げ数字」が下がったなら営業力より企画力が問われる。企画力の欠如は会社にとって命取りだからである。

  もちろん、どんな会社でもマーケットの数字を把握しないまま企画担当が出来るわけがない。では、どうして容器や容量を変えたのかと言う事である。極めて常識的かつオーソドックスに考えれば、単純に「もっと食べてほしい」と言うことなのである。そのための、まず400g入りの容器は、お母さんの立場では、少し大きすぎたのである。実は前の容器は、冷蔵庫内の高さをある程度確保しないと収容できない。そのスペースは、通常お父さんのビール缶の高さに相当し、夏場は空きが出来る事は少ない。そこで、むしろ、容器は小型の方が良い。つまり、冷蔵庫内の置き場を確保しやすくなったと言う事である。これは、店頭での展示方法と同じ競争原理である。

  一方、口にする側から考えると、400gは、どう見ても2日分に匹敵する量である。その前提で、2日間も無駄に冷蔵庫内のスペース確保するより、この小型容器だったら、2個買って、日々食べた分だけ減らす方がよいと思う筈である。そうすると、既に売上げは前より25%も上がることになる。次に、中味である。容器の小型化は、果肉の小型化に貢献できるのである。つまり、容器が小さくなった分だけ、果肉の大きさが小さくなっても違和感は無いのである。仮に同じグラム数の果肉だと、むしろ具だくさんに見える筈である。要するに、容器の小型化が「売上げそのものと、利益拡大の両方に貢献できる」可能性があると言うことなのである。ま、食品会社で働いたことのある人なら常識である。

  贅沢フルーツミックスヨーグルトの企画力は久々に優れていたし、売上げもそこそこであった。良い商品であったことは間違いない。その要因は、パイナップルの果肉とココナッツオイルでトロピカルな甘さにあると考えられる。ただ、世の中、良い商品はたくさんあって、その中でも、もちろん売上げも好調なのもある。しかし、それらの商品が全て儲かっているとは限らないのである。さらに、もっと悲惨なのは、優れた商品なので、売れて儲かっているのだが、他の商品が儲からないので、儲かっている商品をもっと儲かるようにと考えて、「返って売れている商品を駄目にしてしまう」事である。いやいや、同社の「他の朝食シリーズ」が駄目だといっているのではない。この「PREMIUM RICH ヨーグルト」のファンとしては、そうならないようにしてほしいと切に願っているだけである。
ではこちら
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