果物の生産者は、1つの品種を突き詰めて磨き上げていくことに凌ぎを削り、僅かな改良に生き甲斐を感じている。でも、自然を相手にする仕事は、予測が難しくいくら経験を重ねても、「これで十分ということはない」 と語る生産者は多い。自然から学ぶことは多く、いくら歳を重ねても研究に終わりはないようだ。そんな苦難を乗り越えながら、それでも少しづつ新たな品種にも目を向けていかなければならない。それが我々消費者を刺激し、購入意欲の活性化に繋がるのだと思われる。果物は、日常的に食べなくても「生きていけると考えがち」なので、購入優先度は低いからだ。
果物は、趣味や趣向品に近い。だから、幾つかの品種の中から選択したり、より良いものを抽出していく満足感が求められている。そんな根底に流れる期待を満たそうとすると、購入者も生産者に劣らぬ味覚を磨く必要がある。そんな常日頃から存在する漠然とした興味から、今日は3種類の桃を比較してみた。現実として、果物は「食べてみるまでわからない」と言えるかもしれないし、一方で「食べ慣れないとわからない」と言われることもある。この2つの言葉は、我々一般消費者と生産者の間に大きな隔たりがあることを示唆している。そこで、販売者は、試食と称して同じ木から採れた桃を食べさせて体感してもらう。実は、これにも限界がある。小安い1個350円程度ならそれも可能だ。しかし、350円は350円の美味しさとして納得するしかないのである。
果物は価値の違いが顕著である。中でも、桃や葡萄は種類や大きさによって値段が大幅に異なる。桃は350円~4,500円(1個)と値段も幅があり、高級品をそうたやすく試食品にすることはできない。だから、やはりたくさん存在する様々な品種を食べて美味しいものを知っておくしかないのである。結論からいえば、「価格が全てといってよい。しかし、まれに高価なものでも、それにそぐわないもの」もあり、時として覚悟が必要である。今日は、八百屋で珍しく黄色い桃を見つけた。包装紙には、「黄金の桃」とか書いてあり、高級感も漂っているが、ここはひとつ、かたくなに白桃に心を寄せるだけではなく、安い桃でもそこそこ美味しい桃があるなら、一度試しておきたいと考えたのである。
美味しさの感じ方は人それぞれで、あくまで主観的になってしまうが、黄桃は、赤桃や白桃に比べて繊維が多い。甘さは強いが、桃の滑らかな食感は白桃が優れ、薫りのよさは赤桃が良い。黄桃はマンゴウ風で熱帯で育つような薫りが漂い、少々異国感を感じるが、慣れないせいかもしれない。ただ、トロピカルな桃を試してみたいと思われる方には可能性があると思う。やはりここは、比較してみて良くわかるが、子供のころから食べ慣れた白桃が1番安心できる。東京へ来てから食べ慣れてきた赤桃もやはり美味しい、しかし、いまだ良くわからない黄桃は、確かに好んで選ぶことはないにしても、すぐには好きになれないようだ。好きになるには、時間が必要かもしれない。
ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%211182&app=WordPdf