2012/08/07

三次のピオーネ

     東北地震による原発放射能の拡散事故を契機に、弟は陣中見舞いと称して、私の元へ様々な食材を送ってくれている。この歳で、今更体がどうなろうと、知ったこっちゃないだろうが、それとなく放射能の体内被曝を心配しているようだ。それは、あの広島近郊の地に育った全員が背負った、宿命的思考構造なのかもしれない。送られてくるものの大半が、広島よりさらに西で生産されたものが多いことからも、神経質になっていることが容易にわかる。大きな声では言えないが、弟は、必要以上に心配性だ。

  先々週、産地直送の桃の話を書いている時に、一寸まだ早いけど、涼しくなったらすぐに甘い葡萄を腹いっぱい食べたい。そんな、幼いころを思い出して原稿を書いていたら、先週、本家本元の「三次のピオーネ」が送られてきた。偶然にしても、まるで、宝物を送られたような気分になったのである。そこで、ここに続けてページに追加しておきたい。広島県外の人達には「三次のピオーネ」は馴染みが薄いかもしれないが、広島県の三次盆地で栽培されてきた最高級の葡萄である。三次盆地は、昼夜の気温の高低差が大きく、果物にとって「濃縮された美味しさ」が生まれる場所である。ピオーネは、巨峰とマスカットを掛け合わせた品種で、味の濃い巨峰の甘みを備え、マスカット本来の果肉の食感と、甘味の中に爽やかさを兼ね備えた、とても品位の高い美味しさを誇る。

  1年を通して、何度も収穫できない果物は、広大な敷地を上手く利用しながら温室栽培と露地栽培の2つの生産システムを設けて、長期の収穫を確保する場合が多い。この「三次ピオーネ」も同様で、温室栽培は6月頃から収穫が始まり、より甘味の強いピオーネが出荷される。露地栽培とは、外見上の違いは無いが、今日紹介する品物はもちろん温室栽培である。一方、9月頃から収穫される露地栽培は、やや酸味が強く「こくのある美味しさ」になるが、私は温室栽培の方が「断~ん然美味しい」と思っている。もちろんそのままいける「種なし」である。

   値段は、温室栽培の方が2~3割程度高くなっている。因みに、PDF写真の品物は、市場価格で普通7,000円程度である。9月以降は、5,500円程度まで下がる。もちろんピオーネにもピンからキリまであって、生産地、粒の大きさ、房の重さなど品質は様々で、値段もまちまちである。果物に限ったことではないが、この手の冷蔵生物を入手する時は、顔見知りのお店で購入するのが良い。また、特に「贈答品」とするならば、より注意が必要で、出来るだけ手間を惜しまず、少々高い「万惣、千疋屋」といったところで求めれば、「唸るほど高いが、失敗は無い」筈だ。そんなことを考えながら1粒々を口にすると「首をかしげるぐらい美味しい」。つい弟へも感謝の気持ちが沸き上がるし、逆に長生きしてほしいと思うのである。
ではこちら
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補足:8月6日は、広島市に原子爆弾が落とされた日である。
それに関連したことに興味のある方は、
広島赤十字病院(再掲)
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%21565&app=WordPdf

平和記念公園(再掲)
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%21577&app=WordPdf