2012/08/21

京王線地下を走る


   また1つ大切な記憶が消されそうである。今は、まだそこに存在しているので、この風景は絶対に忘れないと心に刻んでいるのだが、しかし、人の記憶は意外にも脆く、新たな風景を見た瞬間、古い記憶が遠のいていくという現実がある。もちろん、電車や駅が地上から姿を消そうとどうしようと、大勢に影響は無く、我々の生活は変わらないし。交通安全上もその方が良いに決まっている。だからつまらないことを気にしないでもよいのだが、40年間見慣れてきた風景が姿を消すことや、イライラして踏切を待つことも無いだろうと、それにも1種の寂しさを感じている。そして、じっと快速をまって、特急を待って、各停をまって、「やっと、渡れる。そして急ぐ」 そんな喜びそれも、もう無くなるのである。


京王線は、18日(土)の終電後から翌19日(日)午前9時過ぎまで 国領、布田、調布間の地下化切換工事が実施された。柴崎駅を過ぎて野川を渡り150m 程先から地下へ入り、本線は西調布手前で再び地上に戻る。一方、相模原線は、京王多摩川手前で地上に戻る。このほぼ出来上がった地下線路への繋ぎ込み工事が夜を徹して行われたのである。現場は3か所で、ほぼ同時に始まり、1か所1500人を超える人員で作業が進められた模様(警備員を含む)。大型クレーンなどが狭いところを縦横無尽に動作し、広い区域にわたって通行・進入禁止になった。深夜にもかかわらず多くのカメラマンが押し寄せたが、安全上の警備が厳しく、作業を近くから見守ることは出来なかった。

  地上の線路を切断し、必要ない部分を撤去する。そして、地下トンネルで既に敷設されている新線路と接続するには、どのような手順で作業が進められるのか、誰でも興味はある。しかも、自分の目で作業を見てみたい、うーむ、「一生に一度」も切換工事なんか立ち会えないと思う筈である。近所の人たちだけではない、遠くから来たカメラマンは、望遠レンズを通して固唾を呑んで作業を見守っていた。どのような手順で作業を進められたかは、想像の通りなので説明は割愛するが、今日はこの接続された工事中の線路を見ていただきたい。PDFの写真は新宿方面に向かって撮影。



  作業終了後は、地上の踏切警報機は置物になり、線路の隙間は埋め尽くされている。この地下化については、30年以上も前から計画されてきたが、その間も、この区間の踏切待ちによる渋滞は、徐々に増えて、いつしか凄まじい状態になっていたのである。特に、調布の本線と京王相模原線が分かれる調布駅西側の踏切(下の写真)では、車の交通量が多い割には踏切の横断距離が長く、締切時間も長いとされていた。これも近年、電車の増発ダイアによってさらに拍車を掛けてきた。この工事の総称は、「連続立体交差工事」と言うぐらいで、地上にある18ヵ所もの踏切をなくす事が出来たようだ。
ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%211185&app=WordPdf

補足1:京王線の記述分類として、本線は、新宿から京王八王子まで。相模原線は、調布から橋本まで。高尾線は、北野から高尾山口まで。井の頭線は、吉祥寺から渋谷まで。途中、明大前で本線と乗り換え接続可。を指す。

補足2:上部写真の説明 一番上の写真は、布田→調布の間の9000系。二番目の写真は、国領駅に隣接する狛江通りの踏切が開いた時の様子(夕刻撮影)。三番目の写真は、切換作業終了後に国領駅手前で地下へ走る8000系車両の先頭車。

補足3:前日は、あちこちで別れを惜しむ人が溢れた。仮設の調布駅とホームに入線している京王線4本を撮影しようと、踏切の中から撮影する人達。京王八王子からの各停が背後に迫っている。


補足4:前回(第1回)の国領駅先方の地下工事紹介(再掲)
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%21957&app=WordPdf

補足5:野川を渡る京王線(再掲)。この左側150m先近辺から下がリ始める。
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%21636&app=WordPdf