2012/10/05

世羅梨

 弟から梨が送られてきた。ここんとこ度々果物が送られてきて、色々考えてしまうが、ま、素直にありがたみを感じている。この梨は「世羅梨豊水」である。世羅とは、その梨が育った土地の広島県世羅郡世羅町で、豊水という梨の種類である。決して珍しい梨というわけではないが、優れた環境で丁寧に作られていて、「たいへん美味しい」ので有名である。梨の種類としては、一般的に幸水、豊水、新水、二十世紀などが知られているが、特に幸水、豊水はどこでも収穫されている。

 我々の世代で、広島あたりで育った者は、二十世紀梨がもっとも一般的で、梨は緑色だと信じて疑わなかったが、40年前、東京へ来た当時は、二十世紀梨の入手が困難だったので、広島から送ってもらったりした。しかし、東京で長十郎、幸水、豊水を知ってから、茶色の梨にはやや抵抗があったが、口にしてみると、見た目より美味しいので驚いたことを覚えている。以降は、もっぱら幸水を好んで戴いている。

 幸水は、大小を問わずいずれも美味しい。特に酸味は少なく、甘い果肉が緻密に入っていて、シャキシャキした食感とみずみずしさが特徴と言える。最近は大量に水分を含み、果肉が果汁で満たされ透明度が増したものがあり、冷やすと天然のシャーベットのようになる。夏から秋にかけて「口にできる自然のみずみずしさ」は、格別の美味しさと言える。梨の種類による美味しさの違いは、よく酸味と歯ごたえとして比較されるが、豊水は幸水に対し甘み、酸味いずれも抑えられて、さっぱりしたみずみずしさが特徴で、果肉は少し柔らかく丁度よい。その違いは、誰にでも分かりやすい。

 二十世紀梨は、それに適した土地で日本海側の鳥取県近郊のみで作られているが、世羅郡世羅町は、丁度三次と瀬戸内海の中間に位置し、三原から少し内陸に上がったところで、長い日照時間、昼夜の温度差、適切な雨量などが梨や葡萄の栽培に適している。やはり、山梨と似た気候といえそうだ。瀬戸内海という冬場でも独特の温暖気候も加わって、将来は、年間を通して様々の果物の栽培が行われるようになる筈である。
ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%211202&app=WordPdf

補足:8月には三次ピオーネの温室栽培が贈られてきたのできて紹介したのだが、今回は、9月から収穫できる露地栽培の三次ピオーネ(同じ生産者)が贈られてきた。2つのピオーネは少し違っていたので補足しておきたい。確かに温室栽培の方が「甘味の強いピオーネ」で、果皮や果肉がやわらかく上品な感じであるが、露地栽培は、「果皮や果肉がしっかりしていて、1粒々が大きくみずみずしい」やや強い生命力を感じる。温室栽培の方が高価になるがその分美味しく感じる。