2012/10/30

来年のカレンダー

 最近は、早めに手に入れないと無くなるものが多い。欲しいのは卓上カレンダーである。いよいよ、来年早々還暦を迎えることになった2013年であるが、歳を重ねたせいか必要な物はすぐ近くにないと困る事が多い。こまごました物を卓上に並べ、コックピットの様な状態にしておくことで、安心な気分なのである。それらは、充電式電池、LED懐中電灯、時計、ラジオ、モニターTV、卓上カレンダー、ウォークマン、メガネ、携帯電話とかで、一口でいえば日常設備である。この手の配置は、年寄りが、盆栽をいじるのに似ている。もし、今、巨大地震が襲ったら 「せめて、愛するそれらと一緒に運命を共にする」ことができる、ということで安心なのだろう。でも、何処へ行くにしても、日常設備と一緒でないと、すぐに困るだろうと思う。

 社会的な視点でカレンダーを眺めると、その年を占う傾向があって世相も反映しやすい。もちろん、戴き物で十分と言う、大昔から「変らない習慣と感性に縛られている人」も少なくないが、女性は、好きなカレンダーを購入する「トレンドに敏感な価値観」を持ち、用途や趣味に合わせて室内が数種類のそれでコーディネートされる。男性は、常々憧れる対象を近くに置きたいと願っているが、そう簡単にできない物が多いのでカレンダーの写真で楽しみたい。特に、機械物は人気が高く、スピードやデザインなら高速列車関係、歴史の象徴としては世界遺産、科学なら火星や探査機といった宇宙開発と様々に憧れが反映される。ところが、来年は、戦闘機、イージス艦、迎撃ミサイルといった軍事関係のカレンダーが売れるとお店側は見ているらしい。ま、せいぜい写真を見ながら心を静めてほしいものだ。

 そんな世相に逆らうように、京王電鉄とSuicaのペンギンのカレンダーを購入してきた。全く平和主義に徹する「おっさん」なのだが、やっぱり、なんのかんのと言っても、あの「8.18 京王線地下を走る」の頃から、来年の京王線のカレンダーには、どのような写真が使われるのか、例年にはない興味を持って購入したわけである。すると、「ああ、やっぱりな!」と思う写真が表紙を飾っていた。さすがに、もう「2度と撮れない地上の調布駅」の写真である。おまけに、現行の3種類の車両つまり、7000、8000、9000系が、全て揃って入線しているという、緻密に「計画性の高い写真」といえ、最後の記念写真としてもふさわしい。

   Suica カレンダーは、13ページ(上が表紙)全てオリジナルのイラストで構成されていて、ペンギンは様々に表情を変えている。カードの場合は、何回叩かれても変らぬ愛嬌を振りまいているが、カレンダーには意外に多様な表情が見てとれて楽しい。実際に近づいて観るとその世界に吸い込まれていくようだ。知らず知らずのうちに、作者の意図を思い浮かべたり、それを題材にして12ページにも及ぶ長編ストーリーを考えてみたり、観る側の創作意欲を掻き立てるようだ。こういった愛嬌のあるものは、絵の中に一緒に入って、自分勝手に想像を巡らせ、自然に魅きこまれてしまうのである。誰でも、何となく日常から離れて楽しい気分になれる筈だ。
ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%211211&app=WordPdf