昭和の時代は、活気があってよかったという人は少なくない。この活気を背後から支えたもの1つに流行歌がある。音楽は人の気持ちを楽しくし、歌はストレスを発散し人を元気にする。そんな背景からなのだろう、最近、再び「昭和の歌謡曲を特集する番組」が増えた。何せ、30~40年くらい昔の曲ばかりなので、番組では3種類の再現方法が使われる。1つは、保存されているビデオテープから再編集したもの、2つめは、ご本人が登場して当時流行った曲を聴かせる、そして、3つめは、別の人が番組中だけで古い曲をカバーするというものである。いずれも、かつての流行歌を耳にしながら、ほのぼのと青春を思い出すこともあるし、元気が漲ってくるという人も少なくない筈だ。
実際、ご本人が声をからして当時の曲を歌うとか、別の人が流行した曲を歌うというのは、当時を鮮明に思い出すにはやや不向きなことが多い。今1つ、あのような歌い方ではなかったし、よく聞こえないフレーズがあったとか、逆にフラストレーションが溜って、どうしてもオリジナルを聴き直しておきたいと思うこともあるようだ。一方、そういう直接的な刺激とはまるで逆になるが、時折、お昼休みなどに、遠くにあるラジオのスピーカから聴こえてきた当時の曲に、懐かしさがこみ上げてきたと言う人も少なくない。ラジオ番組でも「当時の曲のリクエストが絶えない理由」がそんなところにもあるのだろう。何度も当時「その曲を聴いて気持ちを癒した」人達にとって、オリジナルが一番その頃を思い出すようだ。
昨年は、山口百恵さんのヒット曲のシングル盤のジャケット写真をまとめた。シングルジャケットの懐かしさは、それを見ながら何度も聴いたという人には懐かしいに違いない。人それぞれ、少し違った想い出もあると思うが、今日は、その第2弾として中森明菜さんのシングルジャケットをまとめてみた。おおよそヒット曲は15程度と思われるが、間違っていたら「ごめんなさい」である。レコード大賞を2回も受賞し、歌は大変上手である。もちろん曖昧な音もない。歌手だから歌が上手なのは至極当然だが、当時は、「音が外れる人が多かった」ので、今でもちゃんと区別しておきたい。加えて、その頃のどのアイドル歌手より映像美術的感性に優れていたと思う。
そのセンスとは、曲1つ1つに、自分が拘って曲に合わせた衣装デザインや振り付け、メイキングに介入し、曲に合わせたイメージを高い次元で作り上げていた点である。その、優れた映像美をブラウン管を通して視聴者に訴えてきた感性は、最初から他のアイドル女性歌手とは一線を画していたと思える。歌手だから、与えられた歌をそこそこ上手に歌えば良い、あとはスタッフが、曲に合わせて様々に手を変え品を変えてコーディネートしてくれる、そういう忙しないアイドル量産時代であったのも事実である。最近でも、自分の好きなようにやって「個性を出している」ケースが見受けられるが、「センスの悪さ」が目立ってしまうことが多い。そう考えると、無難かもしれないが専門のスタッフの指導の方が良い場合が多い。やはり、難しいことなのである。中森明菜さんは、そんな美学を備えた良い印象の残る歌手であった(過去形で済ませたくはないが)と思う。しかし、15枚のシングルジャケットには、そういう拘りはなさそうである。
ではこちら
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