去年の5月頃、スーパーで小安い輸入品の落花生を買って、どうにも味に納得がいかず、結局、千葉県産の商品をわざわざ取り寄せたと言う話を紹介した。当初は、全く何の認識も、疑いもなかったことから、その外見が綺麗で小安い輸入品に飛び付いてしまった。しかし、本場の千葉県産の落花生を口にした途端に、「国産が如何に魅力的か」を知ったのである。千葉県産には「千葉半立」と「ナテユタカ」の2種類の品種があり、それらは食感、味共に若干異なるが、いずれも輸入品に対してはるかに美味しい商品であったことから、それに大いに印象深い思いを残してしまったのである。それによって、落花生の殻を割った時の音とか、ピーナッツの薄皮との外れ具合とか、噛み砕く食感までもがイメージとして残り、そのことで、頭の片隅に「国産が美味しい」という好印象といて決定的に刷り込まれたのである。
落花生を食べたくなる時期や動機は、スーパーなどで「新豆と書いたパッケージ」に収まった落花生を観かけることに始まる。勿論、この時期は我々も、天然のビタミンE、ビタミンB1,B2、ナイアシン、オレイン酸、リノール酸が不足しているからなのだろう、一度その食感を思い出すと、しばらくは頭から離れなくなる。しかも、今年のスーパーの売場では、「千葉八街産の落花生」と明記された商品が、昨年の半額近い400g800円程度で並べてあった。表記されている製造者も一流どころである。ちなみに昨年の輸入品が、400g400円程度であったので、対抗上、今年の国産商品は半額程度でぶつけてきたようだった。このような、スーパーと製造者のダブルブランド、あるいはプライベートブランドと称する商品は、値段はそこそこなのに「概して高い品質に欠ける」傾向があることは広く知られているが、さすがに殻を割ってみないと分からない落花生までは言及できないと思っていたのである。
中国、アメリカ、ブラジルなどの輸入品に対して、「千葉八街産の落花生」の価格が2倍程度に抑えられているなら、もはや千葉八街産の方を選ぶと言う、消費者の気持ちをくすぐる「値頃感」に、再び私のような正直者は騙されてしまったのである。確かに、昨年の好印象の残る商品は「400gが1,400円程度」することを忘れてはいなかった。しかし、同じ国産の表記された400gで800円の千葉八街産の落花生は、それなりの「意図のある戦略価格商品」と考える必要があったと思う。それにも、まんまとはまってしまった自分の不甲斐なさを反省しながらも、「今年は、例年に比べ少々出来が良くないため、全体的に期待外れなのかもしれない」。そう、自らを納得させるしかなかったのである。
市場は、その現実の中で、どうすれば「国産販売強化の」きっかけになるのか、そこそこ目立つ製品を投入して、市場への刺激をするしかなかったのかもしれない。それを口にして、どこか昔と違う風味や食感に不満が残れば、やっぱり「千葉八街産の厳選品」を求めるに違いない。では、間違いのない商品をどのように見分けるか、ここ数年で感じたことを言えば、幾つか種類を食べ比べるという古典的な手法も悪くは無いが、結局、「味自慢の(社)千葉県落花生協会のシール」が貼ってある「品質保証されたもの」を口にしてみるべきである。少々高くてもこれは仕方の無いことのように痛感している。今後は、極端に安価な製品が海外から入ってくるから、ますます消費者を惑わすプライベートブランド製品が溢れるかもしれないが、我々がしっかりとした味覚を持ち、オリジナル・ブランドを正しく評価できれば、自分で納得できるはずだ。
ではこちら
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補足:ダブルブランド→スーパーやデパートがメーカーと共同で企画・製作しスーパーとメーカー、あるいはデパートとメーカーの2社のブランド名が併記されている商品。
補足:プライベートブランド→スーパーやデパートが販売強化目的で自社で企画した商品。同等の一流ブランド商品に比べ、単純に小安くした商品を店頭に並べて集客に利用するケースが多い。