2013/05/07

味噌とんこつ

  「味噌が先なのか、とんこつがベースになっているのか」分類しにくいが、「味噌とんこつ」という二つの濃厚さが融合したラーメンが送られてきた。中味は4個入っているが、きっと送料と同じぐらいの価格か、あるいは送料のほうが高くついたのではないだろうか。そう考えると、きっと送り主としては「美味しいと信じて疑わないし、私も喜ぶに違いない」と思ったようだ。それにしても最近は、「まるちゃん正麺、サンヨー食品の麺の力、日清食品のラ王」など各社の最新即席麺が美味しくなったので、本来の「生麺の美味しさを忘れてしまった」ほどである。そうそう、しばらく、生麺を食べていない。どのくらいのお湯で、何分ぐらい茹ればよいか、そのどんぶり感覚を忘れてしまっている。お店へ行くなら「麺硬」の一言で済むのだけれど、自作の場合は、つきっきりの慎重さを要求され、おまけにたっぷりのお湯で麺をゆったりと泳がせる。そんな試行錯誤の末、希望の硬さはおおよそ2分30秒である事が分かった。それでさえも、今更にあえて難儀な作業に思えてしまった。

  送り主の気持ちはありがたいが、ややもするとそれを押し付ける気概を感じる。それは、一体どういうことか。味覚的バランスでは、平素より余計神経を使いながら、その「味噌とんこつ」ならではの「美味しさを生かしきる調理の仕方」を模索する必要があるわけで、仮にも即席麺の中に埋もれてしまう程度ならば、何と言い訳をすればよいのだろうか、お礼の言い方1つで憤慨するかもしれないし、かといって誤解されるような言い回しも本意ではない。だから早い話、ここで私が「甘いの、すっぱいの、辛いの」と言ったとしても、きっと「調理の仕方に問題があるか、丁寧な仕事をしていないように」思われるに違いない。そんな予感が私をより慎重にしてしまうのである。それでも、一口で言えば、「味噌ととんこつ」の微妙な相性は、たいへんよく出来ていて美味しいことは間違いないし、コクと言うか、味の風味豊かな濃厚さも申し分ないが、1つ難点は「塩っぱい」ことである。いささか湯を追加して薄めたとしても、返って塩っぽさがより鮮明に感じ、味噌ととんこつの豊かな風味のバランスが崩れてしまい、ちょっと首をかしげてしまうのである。

  もちろん、こういう、ラーメンには上に乗せるトッピングを増やして、味のバランスを再構築する方法がある。例えば、このラーメンを「味噌ラーメンの発展系」として扱う場合には、ゆで卵、ねぎ、きくらげ、もやし、コーン、バターなどをのせ、あるいは、「とんこつラーメン」として扱うならば、焼き豚、きくらげ、かいわれ、紅生姜、のり、などをのせて楽しみたい。つまり、お互いに使えるトッピングから好きな組み合わせをして楽しむしかないのである。そこで、PDF写真のように、きくらげ、メンマ、焼き豚、かいわれ、をのせることにしたのである。それによって、「少し塩っぽさ」が紛れバランスが良くなる。つまり様々に好きなものをトッピングしていくことで、不思議とこの全体を覆いつくしていた塩っぽさがどこか遠のいてしまうのである。

  能書きを重ねた屁理屈はさておき、今週の幾分気分の良い日には、この「味噌とんこつ」を色々試してみたのである。一番気を付けたのは、やはり、生麺が時間とともに少しづつ膨らんでいく時の食感である。実際には、生麺のように感じさせる流行の即席麺とは、その変化に明らかな違いがある。やはり、生麺の美味しさの直線性というか、つまり、麺が硬目で食べられる短い時間から、十分に時間をかけて麺が十分戻る長めの時間、そのつるつる感やコシの強さも含めて、その間の時間と共に硬さや食感の変化は、生麺の方が長い時間「明らかに食感として優れている」のである。改めて、本物の強みを実感したと言うわけである。
ではこちら
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