カップアイス好きの若者たちに聞くと、圧倒的にハーゲンダッツの人気が高い。暑い時期だけではない、真冬でも暖かい部屋でハーゲンダッツを食べるのが楽しみだという。やはり、冬場でも確実に売り上げを伸ばす同社の商品は、満足度も大きいようだ。そう言われてみると、低カロリーで美味しいアイスは山ほどあるけれど、じっくり楽しむ高いカロリーのアイスは、ハーゲンダッツの独断場かもしれない。特に、「強い甘み」は誰にでも分かりやすく、いつまでも印象深い口解けに繋がっている。以前、新宿西口にあるゴビバのアイスを買った事がある。ここの商品も、その延長線上にあり、やはり濃い味で、二口で「胸いっぱい」になってしまった。
そういう自らの体の反応を基に、最近、欧米人と日本人のアイスに対する感覚には、大きな開きがあるかもしれないと思い始めたのである。いやいや、アイスだけではないかもしれない。日本人は、はるか昔から味覚の中にも「薫りや風味に、自然さとか素材の持ち味を大切」にする感性がある。ゴビバもハーゲンダッツも美味しいには違いないが、あえて言わせてもらえば、「行き過ぎた濃さと、甘さによるインパクト」が強すぎて、蜂蜜までも加えるとか、そこまで甘さを強調しているのである。しかも、こんな甘さの強い物を食べ慣れると、どんどん味に鈍感になりそうだ。しかも、一度でも鈍感になってしまった味覚では、微妙な味の違いを次々と見落としてしまう。つまり、ハーゲンダッツから足抜け出来ない状態になるのである。私のような、甘いもの好きは、最近そう感じることがある。甘さと風味の階調を大切にしたいものだ。
元々、米国で通用するには、猫も杓子も「単純で分かりやすさ」が重要である。それはまた、全世界で評価を受けるためにも大切な要素と言える。しかし、その「濃い甘さ=美味しい=また食べたい=たくさん食べて=取り返しのつかない肥満体系になる」という構図だけが最後に残るのである。元々米国人は、微妙な美味しさの違いを云々かんぬんする人種ではない。食べ物に関しては、「クォリティより量」が物を言うようである。そんな単純さと強烈な欲望が渦巻いて、群を抜く肥満大国になっていったのである。もちろん、日本国内では、いま一つ、そこまで濃く、更に甘く、と言う点でそれに匹敵する商品が無かったことも事実で、どこかで「程々の濃さと安易な甘み」に頼っていたのかもしれない。つまり、本気で挑戦しようとする意欲に違いがあり、さらに、日本人の「甘みに対する、あるいは濃さに対する好み」を安易に考えていた可能性すら考えられるのである。
今日、紹介するGranのミルク・アイスには、その微妙なニュアンスが多分に活かされた商品だと思った。さすがに、国産を印象付ける「きめ細かい美味しさが幾つか感じられる」のである。ほとんどそのミルクの持つ甘さと、そのまま濃くしたような仕上げは、従来にない自然さを伴う。これは素晴らしい仕上げ感である。ミルクの持つ本来のコクや甘味、素材の濃縮感というか、そこに独創性の高い美味しさが潜んでいて、無脂乳固形分13%とか、乳脂肪分15%という、数値スペックから来る印象とは程遠い異次元の食感が魅力的だ。かつてない滑らかな仕上げによって、爽やかな後味を実現し、エネルギー量270kcalというのも意外に感じるほど嫌味のない満足感に繋がる。まさに、クオリティーの高いアイスなのである。案外、苦味と重なると一際ミルクが引き立つこともあり、そこは組み合わせに好感が持てる。
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