スイーツの中で定番中の定番と言えば、ショートケーキとかチョコレートケーキを挙げる人が多いかもしれないが、意外に忘れてならないのはプリンである。特に、昭和の頃からあるプリンアラモードは、周囲に生クリームやフルーツが入っていて、かなり幅広い美味しさを提供してくれた。今でも、年配の人に支持を得ているらしく、セブンイレブンやファミリーマートでも見かける。透明プラスティックの中心部にあるプリン自体は、即席のカスタードを固めたプッチン・プリンのような味なのに、それが返って懐かしいし、口の中では、生クリームやフルーツと渾然一体となって、大昔のその頃を思い出す感覚が脳裏を霞め 「うーむ、昔と変わんねーな」と、そのことに安堵するのである。
カスタードとは、牛乳またはクリームとコンスターチと卵、砂糖を混ぜながら加熱し、滑らかに仕上げたものを指し、プリンは、コンスターチの入れない状態で加熱しながら攪拌し、冷やして固めたものである。大昔は、ハウスのプリンの素で簡単に作ったプリンの味が全てだと思っていて、カスタードってこんな味だって認識していた時代があった。最近は、カスタードだけの入ったシュークリームも少なく、あいにく忘れかけそうだったのだが、あるとき、店頭で専門的にシュークリームを作っているお店でカスタードを買うことができた。その時、「こんなに美味しかったんだ」と、昔のイメージのカスタードに比べ、「生々しい美味しさ」につい興奮してしまった。しみじみと、カスタードは美味しいと思ったのである。
プリンは、卵白が固まる時、小さな空気の巣が出来る。カップから取り出して、お皿にひっくり返して、この気泡がたくさんあればあるほど、美味しいそうに見えるのである。そして、さらに決定的なプリンらしさがもう1つある。それがカラメルである。そのほろ苦いカラメルは、プリンの食感を奥深いものにしてくれる。このカラメルは、普通はカップの下に敷かれているにもかかわらず、取り出すと山頂に来る。つまり、最初にスプーンを入れ、「プリンの美味しさ」を決定付ける場所なのである。そんな、カラメルの効いた素朴で固めのプリンを無性に懐かしく感じる。しかし最近は、柔らかく滑らかなものが流行っているようで、そんなプリンを見つけるのも難しいようだ。
今日、買ったプリンは、思いのほか「美味しそうな印象」を持っていた。口にすると、まさに期待に違わず、自分の持つイメージを髣髴とさせる食感を備えていたのである。それにしても、遠い島根県の安来市というところで作られていて、わたなべ牧場の「手造りプリン」 と書かれている。この外観からは、もっとさっぱりとした「美味しさ」かのように思っていたのだが、実際は意外にも、原材料の生乳の質の高さと濃厚さを実感するほどであったし、おまけに、あのカラメルが別容器に収められていて、随時添加調整ができる。これに使われている三温糖がこれまた格別に懐かしい味なのである。つまり、別容器なので、濃厚なプリンの味わいと、カラメルの甘味と苦味の加わった、一層甘苦いプリンと食べ比べも可能である。
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