2013/10/15

栗ご飯の素

   ウォーキングコースには不思議と栗の木が多い。今頃になると路上にたくさん落ちていて、潰れている物もあれば、棘の中から実がぎっしり詰まっている姿を覗かせる物もある。こんな大きな棘のある栗でも、1粒1粒は小ぶりなことが分かる。おおよそ、木の実は外敵から身を守るために、棘とか堅い殻に包まれていて、種を守ることに執念を感じる。そんな、その殻の堅さや大きさに「一種独特の好奇心ともとれる気持ちの高ぶり」を感じてしまうのは自然なことと考えられる。そして、そこに、その隠された美味しさを探求する気持ちも湧き上がるのである。

 栗の実は堅い殻に覆われて、実の密度感は非常に高いが、火を通すことで、ほのかな薫りと、強い甘みを提供するものになる。特に成分として、たんぱく質、食物繊維、ビタミンA、B1、B2、C、をはじめカリウム、ミネラルなど、特に亜鉛も豊富で、今の季節には必要不可欠な栄養素が含まれている。夏の疲れを取るには栗は最適なのである。そこに、目をつけ、甘味の少なかった昔から、饅頭の餡に入れてみたり、羊羹に入れてみたり、あるいは、ぜんざい、はたまたマロングラッセにと、古くから美味しく自然の栄養素を取り込むように工夫したと推察される。

  手間さえ惜しまなければ、山へ栗拾いに出かけ、手軽に美味しい「季節感とほっくりした甘み」を楽しむこともできる。ご飯と一緒に炊き込むことで、その甘みと薫りがご飯に移り、全体が優しい美味しさに包まれる。栗の甘みを引き立てる出汁は、薫りが損なわれないように薄味に仕上げる必要がある。ここでも、大粒の栗はやはり魅力的に写る。またそれが、栗ご飯ならではの存在感を出すのに最適なのである。店頭では、今頃、その栗の処理を施し、出汁を別に用意して、2つをパッケージした商品が賑わせている。そんな種類も豊富な商品の中から、今日も1つ選んで買い求めてきた。その、決め手になったのは、「栗がより美味しくなりました」というキャッチコピーである。

  この言葉は、少し誇らしげな印象もあって、「栗の味が引き立つ、美味しさが増した」という風にも読み取れ、実に的を得た表現である。それが、さらに「美味しそう」なイメージを膨らませ、何処と無くうれしい。しかも、出汁を薄めず、そのまま炊き上げるという手軽さがよい。早速作ってみることにした。洗米したお米2合を炊飯器に入れて、そこに出汁、別包装の栗を全て入れる。栗がでかいので楽しみだ。30分ほど寝かせてスイッチを入れる。しばらくすると、台所いっぱいに美味しそうな薫りが漂い始める。もうすでにこの薫りに洗脳されてしまった。炊き上がるとすぐに口にしてみる。おっと、あっさりとして上品、薫りは高く、美味しい。うーむ、さすがに「高級料亭 金沢の浅田屋の出汁」である。お米を少な目にすると、おこげが出来るので、それも格別に美味しい。
ではこちら
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