今、都会の真ん中だったり、駅の周囲で「讃岐うどんのお店」が増え続けている。高松に住んでいた時期もあった私にとって、これじゃ「讃岐」と言うブランドを使って欲しくないと思えるほど「麺が柔らかく、味の濃い出汁」で、十分な品質とは言えないものの、それでも、若者やサラリーマンには支持されている。何よりも財布に優しいのが一番だが、自分の目で確認しながら次々とトッピングを重ねて、最終的な姿をイメージできるし、天ぷらなども種類が豊富で、そこは徹底して讃岐流が貫かれている。トッピングの組み合わせを変えることで飽きが来ないとか、店内に若者客が多いという安心感もあって、継続的な魅力に繋がっている。このような「讃岐風うどん」のお店が繁盛していることは、近年珍しいことかもしれないが、それによって、徐々に品質向上を目指し、発展、進化させ、若者に「本物のうどんの美味しさを」を浸透させて欲しいものである。
…と、偉そうな事を云々しながら、今日はそれとはまるで別物と言える「即席うどん」の話である。冷凍、チルド、乾燥まで即席ラーメンを得意とするマルちゃんが、麺作りの集大成ともいえる「生麺うまいまま製法」を使い、即席うどんを市場投入する。それには、意表を突かれた様な目新しさが漂い「おおっつ」と大きな期待を寄せるところだが、業界には即席うどんの代名詞ともいえる日清食品のカップ麺の「どん兵衛」が市場を席巻していて、おまけに袋麺タイプも平行販売しているという現実が待ち受けている。しかも、それは歴史的にも、地域柄を反映した調味味においても圧倒的な実績を誇り、既に割り込む市場があったとしても小さく見失ってしまうほどである。この市場性に関する壁はかなりぶ厚く感じられるが、そこは、「マルちゃんの正麺」製品群の現在の勢いをもって「正麺としてのうどん」を全国展開することで、新たな立ち位置を確保すべく挑戦に出たのであろう。
お湯やスープで麺を早く戻すためには、初期の「どん兵衛」のような薄っぺらい麺の方がよい。しかし、これでは、麺の喉越しや実感が伴わない。そこで、何とか厚みを増すとか、波型を入れるとかして、麺の構造を検討し太麺のような印象にする必要があった。それが、麺を戻した時点での食感として、「うどんらしさ」という重要な印象を与える。しかも、顧客の好みで、麺の硬さをある程度調整もしたいと考えられることから、お湯の中の時間で、やや固め、普通、やや柔らかめ、と言った具合に若干調整できなければならない。そういった、きめ細かい配慮で、より多くの顧客が美味しいと評価する要素にもなる。まさに、「生麺うまいまま製法」の腕の見せ所と言ったところなのだろう。一方、スープに関しては、マルちゃんは多彩な味を、実に見事にコントロールしてきた経験が豊富で、間違いなく美味しく仕上げてあるに違いない。
そうやって、ある程度好みの手順と期待感によって、うどんをつくることで、その上に乗せるものを、お腹のすき具合やその日の気分によって自由に考えてこそ、楽しみであり満足できる結果になるのである。これは丼のご飯と同じ趣向で、元気が欲しい時には、やはり玉子や牛肉は必須であり、またある時は、お店のように海老等のかき揚げ天ぷらを乗せてみたい。もちろん、きのこや野菜の天ぷらもいい。時たまカレー味があっても良いが、それだけではない。寒くなると鍋焼きうどんも食べたいし、八町味噌を使った味噌煮込みうどんも食べたい。と言った具合に広がるのである。つまり、上に乗せる具材は我々が用意するとして、お店で出されるうどんの種類に対応するぐらい、徐々に「生麺うまいまま製法」を使って独自の麺をそろえて欲しいものだ。
ではこちら
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