2013/10/18

大麦 β-グルカン 

  きのこなどに多量に含まれるβ-グルカンは、「食物繊維」の一種で、人が健康になるための幾つかの機能を備えていることが広く知られるようになった。もちろん、古くから注目されて研究も盛んに行われてきた。その中から身近で分かりやすい研究を挙げてみると、β-グルカンを摂取すると免疫力が高まり、風邪やインフルエンザ、生活習慣病などを改善し、その他、アレルギー症状を予防・改善する効果も期待されている。また、癌細胞を攻撃するナチュラルキラー細胞などの免疫細胞を活性化させ、腫瘍を小さくする効果も認められている。これが、古くからきのこ類が癌に効くと言われる由縁である。一方、β-グルカンは水溶性食物繊維のため、便秘解消にも有効といえる。もちろん、腸に届いても消化されにくく、自らコレステロールを取り込み体外へ排泄する働きがある。この水溶性食物繊維は、粘り気が強く、消化に時間がかかる(低GI=グリセミックインデックス=糖質の吸収度合いが緩やか)ため、血糖値の急激な上昇が抑えられ、糖尿病予防にも効果的と言える。また、内臓脂肪型肥満(メタボリックシンドローム)の予防にもよい。つまり、そのβ-グルカンを積極的に体に取むことにより、より「健康的な生活」が出来るという理屈である。

  そのような背景から大塚製薬では、大麦に含まれるβ-グルカンを摂取しやすくした「大麦生活」という大麦の加工食品を販売している。大麦生活には3種類あって、1.ウエハース状のクラッカー・タイプ、2.ボンカレーのように電子レンジで加熱する大麦50%のごはんタイプ、3.フリーズドライでお湯を加えるだけのポタージュ・タイプがあり、用途や目的に合わせて選択できる。風邪を引きやすいとか、免疫力を上げて、より強力に健康的な生活を望む方は、大麦β-グルカン3,000mg を含む「 ごはんタイプ」が最適といえる。また、朝などは、よくカップスープ等を飲むという方には、大麦β-グルカン1,000mg の 「ポタージュタイプ」が良い。また、おやつに軽いビスケットなどを食べるという人たちは、どうせなら、大麦β-グルカン1,000mg の「クラッカータイプ」に変えたほうが良い。いずれにしても、手軽で日常的に免疫力を高めることに期待できそうだ。
 
  「大麦生活」からβ-グルカンを効果的に採るには、低GIである性質を生かして、時間的には朝一番の食事が良いらしい。糖質の吸収度合いが緩やかなことで、昼食ごろまで継続するからだという。一日の摂取目安としてはβ-グルカン=3000mg程度が目安と指示されている(根拠は明示されていない)ので、朝に「ごはんタイプ」を食べればそれで十分と言えそうだ。しかし、内臓脂肪型肥満の解消にはどのくらい量を続けると効果が分かるのか気になるところだ。公表されている資料(*1)によると、A.大麦を50%混ぜた大麦ご飯と、B.精白米を1日2回、12週間続けた時のA,B比較結果によると、腹囲1.1cm、体重1.12kg、BMIにて-0.3、腹腔内脂肪面積で-11平方cmの違いが出たという結果になっている。これはひとつの目安となる数値だが、これを大麦生活の「 ごはんタイプ(内容量150g)」としてみると、少なくとも 1日2箱x12週x7日=168箱食べなければならないことになる。

  これによって、免疫力が高くなるとか、コレステロールが改善され、さらにはお腹周りまですっきりすることを考えると、たいした苦労でもないし、大きなコストアップでもない。運動をしながら続けることで効果がもっと早く現れる可能性もある。もちろん、少々根気も必要のようだが、本質的な健康生活を取り戻したい人には最適の食材といえるかもしれない。ごはんタイプは、少々もっちりしているが、食べやすく仕上げてある。朝なら、焼き海苔や鮭の切り身、味噌汁などとの相性は抜群で苦にならない。一口で言えば、昔の麦ご飯よりはるかに美味しい。クラッカータイプは、クラッカーの上にチーズやジャムでも載せたい気分だが、「そうしたら駄目かな」と迷うところだ。スープは、普通のスープと違いはなく抵抗感はない。むしろ、携帯できるクラッカーとスープの併用で合計2000mgが丁度良い。ただ、効果を早く実感したければ、無理してでもβ-グルカンが3000mg入っている「ごはんタイプ」で始めるのが良い。
ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%211427&app=WordPdf

補足:資料(*1)=Plant Foods for Human Nutrition, 63巻,21-27 (2008)