2013/11/26

カレ・ド・ショコラ4種

  「好きこそ物の上手なれ」と言う言葉がある。好きな事には自ら積極的に取り組むことによって、上達が早いと言う意味だが、人によって、色々幅広く拡張した使い方をすることがある。これも、正しい使い方かどうか分からないが、例えば、京都で「美味しい和食のお店」を探すのに、そのお店の「下ごしらえしている昼中に出ている匂いによって、そこのお店の料理が美味しいかどうか、分かる」という人に対しても使う事がある。いや、そんな嗅覚で美味しさを知ることぐらい、あたりまえだと言う人も少なくないが、これも、一種の経験則によって「基本となる出汁の美味しさと、換気扇から放出される匂いとの相関」が図れているということなのだろう。

  さらに特化して、好きな食材ならば、全てとまではいかないが、ある程度の原産地まで分かるという人もいる。殆どの料理人は、そのくらいの高いレベルの感性を持たないと、自分の調理技術を生かすことは出来ないが、それこそ人の感性の奥深さを物語ることとして興味深い。一方、それを逆説的に活かし、一般人が知らない食材の原産地を提示し、その食材のベールに包まれた美味しさを提案するということもある。「真冬の○○産」だから、「渦潮のおきる○○で採れた○○」だから美味しいというのも、その良い例である。我々は、そういう裏付けや、食感による経験を積み重ねることで、その美味しさを知ったり、その本物と偽物を嗅ぎ分ける感性を得ることになる。

  また、食べ慣れた食材は、ほんの僅かな違いであっても、「どちらでも良い」という判断よりも「こちらの方が美味しい」という判断になることが多い。料理人あるいは製造者からすれば、その判定を1つの喜びとして、そうやって、自らの判断と顧客の感性が一致し、それが正しいことを確認することで創作意欲を高めたり、競争力を磨いたりするのだろう。原産地が日本にない食材に関しては、まるで方向感はつかめないが、「知る人ぞ知る」ということで、専門筋の製造者から多くの美味しさの背景説明を得て、少しずつ理解を深めることになる。つまり、生まれ育った成長時の経験からくる感性は、その人の味覚として大変重要な根拠と言えるが、美味しさの判断力は、さらに経験を増やすことで磨かれる部分も多いと思われる。

  今日紹介するチョコレート4種は、そのような原産地の風味や薫りを知らない顧客にも、納得感のある美味しさを提供してくれた商品といえる。製品としては、ずいぶん前から存在していたが、最近さらに、新鮮味に加えて、パッケージの色に深みを持たせたり、文字の書体を変えたりするなど、ラインナップを一新している。そういう、「細かい改良とか改善でも、時として消費者を引き付けたり、感動させることがある」と言う良い例である。むしろ、その方が自信の表れとして好感されるのである。そんな、日本のチョコレートは、派手さを控えた本物志向で、上品な風味が生かされて美味しいが、この シリーズは、その中でも格別と言える。恐らくこの価格帯で右に出るものは無いはずだ。チョコレートは開封すると日々品質が低下するので早めに消費したい。
ではこちら
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