食事のメニューに関する発想には限りがある。「今日は何が食べたい?何でもいいよ」の会話に隠された、「君の創作性だけが頼りだよ」の願いに代表されるように、頭の中には色々あるとしても、毎日のことなので、最初から考えることが「面倒」なのである。しかも、その為の食材の調達、味の調整、彩りなど、全体として食欲をそそり、家族で満足できる結果を共有することは、素晴らしいことなのだが、既に現代人は疲れているのである。やはり、頭脳、行動力、味覚へのこだわり、色彩感覚、など食卓を飾るには、いささか多彩な能力とパワーが要求されるためである。また、定型的な会社の仕事に比べれば、「食事の支度は難度の高い作業」なのに評価されることもない。出来て当たり前なのである。さらに、前回評判が良かったからといって、それを再現すると言う一辺倒な取り組みでも許されない。そこで、バリエーションを豊かにすることが出来て、手間の掛からず、少し頭を使えば何とかなる「ベースになる食材」が求められている。
そんな要求に応えるかのように、最近の食材ニーズは、ピンポイントでターゲットを絞る傾向が強くなっている。つまり、メニューごとに用意される半加工食材である。お肉を入れてすぐ出来るという「○○の素」と言うものだが、若干味が濃い目にもかかわらず、種類が多いので飽きが来ず、意外に「いいね」と言われるものが多くなっている。他方で、それでも、食材の産地情報、あるいは加工地など、安全性のことも考慮すると、素性の分からないものより、改めて日本近海で取れた、昔ながらの魚の缶詰の良さが見直されつつあり、そこに、何か新たな提案を付け加える動きも始まっている。様々な用途に使える料理専門家向けの水煮缶だと、あまりにも使い方が多様すぎて迷うし、もっと、早く食べたいのに、どうやって味付けすればよいか分からないという消費者も少なくない。そんな一見簡単そうに見えるものでも、「こうやって食べてください」とメッセージ性の高いベース食材になる缶詰が、今、人気を得ているのである。
「いったい逸れは何なんだ!サンマの缶詰なら蒲焼だろう」と思われるかもしれないが、今日紹介するサンマの缶詰は、意表を突かれた美味しさで重宝している。しばらく、「侘び寂の気持ち」を忘れて、「イタリアンな気分になりたい日」には、この缶詰をパカッと開けて、生野菜をあしらったサラダにポコッと乗せたり、茹でただけのパスタへドサッと乗せて、そのまま合えたりするだけで、サンマの贅沢感と満足感が一緒に押し寄せる。もう気分は南イタリアなのである。なんと150円そこそこの商品で、何時でも何処でも気分が変わる。しょうゆ味の蒲焼に飽きてしまった人もサンマの美味しさを見直すに違いない。オリーブオイルもたっぷり入っているし、味付けもなかなか宜しいようで、ぜひ常備しておきたい缶詰なのである。
このサンマの缶詰めには、1.トマト&バジル、2.オリーブオイル&ガーリック、3.香草焼きの3種類用意されているが、今だ香草焼きは入手できていない。トマト&バジルは、香味油やトマトペーストがたっぷり入っているので、そのままでも美味しいが、さらに生のトマトやバジルの葉を組み合わせることで、爽やかな酸味と香ばしいサンマが豪華さと贅沢感を演出してくれる。サラダやピザにも合うが、やはりパスタとの相性も良い。オリーブオイル&ガーリックは、明らかにサラダ向きで温野菜を炒めたところにパカッと組み合わせて楽しめる。いずれも、質の良いオリーブオイルと香ばしく焼き上げられたサンマが利いていて、充実したメニューの1つになり、食事がより楽しくなる。
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