2014/04/25

よつ葉牛乳「特選4.0」

  牛乳の配達希望を募る販売店が、今、再び各家庭を回って受注活動を活発化しているようだ。牛乳は生ものなので、新鮮なものが良い。だから、少量でも2日に1度の配達が良いというのもわかる。しかし、私のような世代は、契約という半ば強制されるような条件を付けられると、抵抗感がつきまとう。それは、小学生の頃、学校の給食で毎日飲まされた経験から蘇ってくる嫌悪感のようなもので、当時は、日々当たり外れがあり、美味しいものは極わずかで、途中までしか呑めないものがあったり、瓶の蓋を取っただけでも臭いで飲みたくなくなるものがあったり、そんな毎日の給食に不安を感じることが多かったからだ。そして、その後といっても、ここ半世紀程、牛乳は自分にとって「危険飲料というレッテルを貼ってしまっていた」のである。

  現在は、そのような品質の牛乳はない。しかし、このレッテルはなかなか剥がせないでいた。そこには、当時は、義務教育という名を借りた牛乳の強制であったことから、牛乳を配達=強制力に繋がると感じてしまうのである。元々、何でも強制されることが嫌いで「反逆精神の旺盛な子供」だったこともあって、強く印象が残ってしまったのだと思われる。それでも、牛乳の進化には、興味を持って見守ってきた経緯はある。その長い時間には紆余曲折があって、途中、成分調整などの技術が蔓延し、さまざまな目的別、あるいは機能別の牛乳が製造されてきた。しかし、最近では、そのような小手先の技術だけではなく、本質的で健全な試みが主流を占めてきたようだ。また、それらを上手に組み合わせることで、より自然で馴染みやすい美味しさの商品が増えている。それが、本来の姿といえるもので、逆に言えば、「何十年もかけてやっと、多くの人たちの賛同を得てきた」のである。

  よく、我々の体は、食べたもので出来ていると言われる。確かに、食べたものやストレスの環境によって、健康状態や体調、あるいは汗の臭いまでも変わることを自覚できるし、それに気を配ることも多い。牛さんにおいても、もちろん牛さんの種類や性格によっても違いはあるにせよ、健康状態はもちろん、食べている牧草や餌、運動している環境、あるいは、ストレスの有無などによって、牛乳の成分や臭いも変わる筈である。したがって、それらを突き詰めると、やはり、牛乳の品質を追求すればするほど、酪農自体は大きなコストのかかる事業であることを認識させられる。それでも、わずかな違いに着目して、品質を高めてきた精神は、資源の少ない日本ならではの特徴であり、さらに、常に安全で美味しいものを追求する気持ちは、日本人の拘りである。牛乳を通して、つくづくとそれを実感することが出来るようになった。
  
  今日は、そんな牛乳の品質を最も重視してきた、美味しい乳商品を製造する「よつ葉乳業」の商品の一部を紹介したい。乳脂肪分3.7%の牛乳と、冬季にしか販売されない季節限定の乳脂肪分4.0%以上の特選4.0牛乳、それらから製造されているバター類、熟成カマンベールチーズの5種である。カマンベールと言うのは、もともとカマンベール地方で製造されたチーズを指すが、ここは、あくまでもカマンベール風という解釈でよい。さすがに、これらの商品は洗練された歴史を感じさせる逸品である。これらの製品からは、「牛の乳臭さのようなものは一切感じない」にもかかわらず、牛乳らしい甘みや風味がより生かされ、優れた品質と味わいを実感できる。その風味こそ、長い間まじめに酪農に取り組んできた同社の姿勢が現れているようだ。
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