この商品の潜在的なマーケットは、まさに私自身を含めた中高年のおっさんではないだろうか。このような商品が冷凍食品で登場するとは、全く持って思いの及ぶことではなかった。だから「素晴らしい商品を開発してくれた」と、その味も確かめず、最初はやや盲目的に絶賛したのである。魚を「毟しっ」て(=身などをほぐして)という表現が日本語として適当かどうか分からない(俗語の可能性あり)が、鯵を「毟しっ」た身がたっぷり入っていて、一緒に野沢菜とにんじんを細かく刻んである。そんな、冷凍の「お魚ご飯」が登場し、食べたいときに、すぐに戴ける環境が整ったのである。確かに、昔はこのような混ぜご飯は、お昼の軽食としていくつも種類が作られていた。
この焼き魚の旨味と、それを引き立てる野沢菜の発酵した旨味が微妙に重なり、組み合わせる食材としては大変優れている。それも、食べる時には全く手間は掛からないが、提供する側としては、単に手間が掛かるという上っ面では表現しきれない、まさに「愛情を注ぎ込んだ」と思えるほどのきめ細かさが要求されるが、今や家庭で作られることは殆どない。まれに、鮭のフレークを使って作るケースはあるかもしれないが、鯵を使われることはない。それは、「お魚ご飯」を一般的な手順で考えると、1.鯵を包丁で裁き、2.鱗を取り除き、3.焼いて、それから 4.箸を使って身をほぐす、という手順になるが、この商品には、更にもう1つ、「鯵は骨まで食べられる加工をしております」という記述もある。それこそ、家庭では真似の出来ない処理と言えそうだ。
実際に商品を口にしてみると、おっと、「かなり塩っぱい」ぞって思った。塩分の多い食事は、体によくないと控えている年配の人には、残念ながらお勧めできそうにないが、「ご飯のおかず?」になら食べられるかもしれない。発売当初はそんな感じであった。折角、優れた企画の商品なのだが、これでは勧めようがないと考え込んでしまった。包装プラを隅々まで読みあさった。そこには、用途として「おにぎり」、「お茶漬け」にもどうぞ、と書いてある。この2つは、確かに多少「塩っぱ」くても、食欲をそそる感じで良いかもしれない。原材料として塩分の多いものを探し出してみると、鯵、野沢菜漬け、しょうゆ、さば削り節、食塩、魚醤等があげられる。これらを見る限り、完成した商品としては、まだ塩分を下げる余地は残されていそうだ。そこで半年ほど様子を眺めることにしたのである。
消費者の反響が「塩っぱい」という人が多ければ、塩分を控えるに違いないと思ったからである。それでも、現状で手軽に塩分を下げる方法としては、新たなご飯を加え、フライパンで混ぜ合わせながら本品を解凍することで可能になる。実際に試してみた結果だと、「冷凍のあじと野沢菜ご飯430g」に対して「150g程度つまり3割程度を白ご飯」を加えて作り変えると、かなり良い線まで改善ができることが分かった。一方、発売当初は、期待に胸を膨らませ、わくわくしたが、このように「塩っぱい」商品だったことで随分の時間を様子見に使うことになってしまった。発売当初からすると大方1年ほど待ったと思う。実は、4ヶ月に1度チェックはしてきた。今こそ、塩分が控えられたいい感じの商品になっているが、まだ、もう少し下がればいいと思っていたので、後回しになってしまったが、人それぞれ塩分の好みはあるとして、このくらい、「魚を毟しった身がたっぷり入っていて、鯵は骨まで食べられる加工がなされていること」には好感がもてる。子供たちも、骨があっても美味しくいただける筈である。子供たちが、この「冷凍のお魚ご飯」の美味しさを知れば、きっと将来魚好きになるだろう。
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補足:発売から4ヶ月おきに食べてきたが、直近の商品の塩分はかなり減っている。