2014/04/22

認知症予防に効果

  「あんた、いつ帰るんね」と口癖のように何度も問いかけてくる母は、私が東京へ帰る日が気になって仕方なかった。既に30年以上も離れて生活していたので、「老いると寂しがるんだ」と勝手に納得していた。普通なら、父が口を挟みそうなものだが、それはなかった。その時、既に父は母の病に気が付いていたかもしれない。確かに年齢もそれなりだったのである。その後は、実家へ帰っても母は、私が息子であることを時々忘れ、客人のように扱ったり、正気に戻って、夜中、私が幼かった時のように、言葉をかけながら布団を直してくれたり、記憶の出し入れに散漫な状態が続いていた。自分が父や母の年齢に近づくと、そんなことを思い出すのである。

  そんな想いからか、早くから認知症には何かと神経を尖らし、何でもいいから、予防の為の対策を始めたいと考えるようになっていた。しかし、一体何をどのように準備したらよいか分からないままだった。そんなある日、「たけしの家庭の医学」という番組で「認知症予防に効果」のあるアロマ療法が紹介された。それを見ながら今にでも始めたい、即やってみようと思った。心の中で、これが自分を含めて世の中の大方の人に効果があれば「悲劇は減る」と明るい気持ちになった。悲劇は、すべて周囲がそれに気づかないか、無関心でいることから始まっている。もちろん本人に自覚はない。そして、自覚のない私も効果があるかどうかはわからないが、とにかくやってみないと始まらないと思ったのである。ここでは、「たけしの家庭の医学」を見逃してしまったが、周囲で話題になっていて「気になる」という人に紹介しておきたい。

  経緯を要約すると・・・認知症の予防方法の1つとして、鳥取大学医学部の浦上克哉先生によって開発されたアロマオイルを嗅ぐ方法である。それは、においによる刺激によって脳の若返りを促すというもの。認知症は、MRIの画像から脳全体や海馬が縮小している状況を確認するだけで、原因がつかめないままであった。先生の研究によると、この海馬の破壊が始まる前に、その海馬に繋がっている「嗅神経」が最初にダメージを受けていることが分かったという。つまりそれが、認知症初期段階であり、何年も掛けて徐々に海馬に影響を与えていくらしい。そこで、「嗅神経」を刺激し、機能を回復させることで、初期段階から認知症の改善を図ろうとするもの。そのために、「嗅神経」を回復させるための研究は、10年という長い年月の間、認知症の人たちの「認知機能の改善度との相関」を捉えながら、どのような香りが嗅神経に効果があるか、その香りの種類を探し出したというもの。

  不安を抱えた視聴者にとって、感化された人が多かったに違いない、翌日から爆発的な情報の広がりをみせ、アロマ取扱店から4種類の香りが消えたのである(店頭での話)。今では、大方のアロマ店で「家庭の医学セット」として販売されている。さて、その、香を嗅ぐオイルの種類は、午前中用はローズマリー+レモン(2:1の比率で混合したもの)、夜用はラベンダー+オレンジ(2:1の比率で混合したもの)。用法は、午前中に2時間以上嗅ぐ。夜用は就寝1時間前から2時間以上嗅ぐ、ということになっている。香を嗅ぐための方法として先生のお勧めは、ペンダントにアロマオイルを注入し、首からペンダントをぶら下げ(鼻からある程度離れている)て生活の中でアロマの香りを嗅ぐ。効能は、劇的というより穏やかなようで、歴然とした効果(3カ月以上継続)を自覚できるわけではないが、一時記憶力が改善されるようだ。
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%211591&app=WordPdf

補足1:「認知症は、周囲が気が付いてからでは、明らかに手遅れである。なのに、認知症は既に40代から始まている」ことも分かっていて、早くから手を打っておくことは無駄ではない。
補足2:今日PDF写真は、専門家に指導により天然物が良いとのことで、取り寄せてもらった品物。やや、セット物より高価になっている。