最近、古い友人と話す機会を持った。彼は Windows XP をアップグレードをしようとして、結局パソコン本体からリプレースせざる終えなくなったらしい。平素から「難しいことを考えている奴ほど、難しい課題の解決に燃える」ようだが、結局のところ歳には勝てなかったようだ。パソコン上で仕事と趣味を兼用すると、様々なアプリが残存し、すべて満足のいく状態で新しいOSへ引き継ぐのは難しい。アプリの中には、既にサポート終了とか、再インストールで認証できないものとか、苦しんだ挙句、結局は巨額を投じて解決したと自慢する。やはり、それが一番良いことで、それこそがマイクロソフトを筆頭に、ソフトとハードの業界が望んでいた事に他ならない。ユーザーが「お金を使ってこそ」業界は息を吹き返し再び繁栄に向かう。しかし、40年近く振り回されてきた者としては、「ミスターシービーのように、常に最後尾から、したたかについて行くのが古きパソコン・ユーザーの美学」と心得ている。去年 Windows 7 にしたばかりだ。
そして、懸案になっている古い32bitのアプリは Windows Virtual PC から起動して何とか延命を図っている。このようにハードに頼り切ることを「力任せ」というが、ハードには比較的過去からの互換性が保たれているので、そのような使い方の習慣が残る。つまり、海豚を鯨が飲み込む形でCPUが作られている良さといえる。しかし、「力任せ」には、早いCPUとその周辺資源を必要以上に配置することになる。その環境に最も影響され易いのが画像加工を扱うアプリになる。最新の画像加工アプリは多機能化が進み続け、さらにその機能を活用して作品を完成させるアプリとも、高度に機能的連携が必要になる。したがって、活用範囲を広げ易い反面、すべて一新する必要性に迫られる。もちろん、それら全ソフトのリプレースは、費用的な負担が大きいため、そう簡単ではない。したがって、画像アプリは少々無理しても、使えるものは使い続けたくなるのである。
しかし、画像アプリの中には、命令開始→終了までが長くて苦痛を伴うアプリもある。たとえば、画像を修正するのに、1ピクセルあたり、その周囲の 24~48 ピクセルから計算で最適値を求めるノイズ除去や補完機能などである。そのような機能をふんだんに搭載したアプリは、アップグレードしたほうが良い場合が多い。そこで、カメラ用の現像ソフトだけ、64bitマルチスレッドで動くものにリプレースした。効果としては、今まで、画像の現像に 3~4分(1画像 2110万画素)ほどかかっていたのが、今は、ほんの20~30秒で終わるようになった。このようなケースでは、極めて爽快感に浸ることが出来て、益々やる気が起こるので、早くアップグレードした方が良い。
さらに、彼は今だに迷っていることがあると追加する。画面のガンマ補正をどのように調整したら良いかいつも苦しむと言う。答えは簡単で 「2.2に設定すればよい」なのだが、Windows 上のコントロールパネルにある設定方法(=ディスクトップのカスタマイズ→ディスプレイ→色の調整→ガンマの調整)だと、実写した画像が判り難く、カメラの暗部再現性の限界によるものか、ディスプレイの黒詰まりによるものか迷うようだ。確かに、Windows 上の調整方法は、操作は簡単だが、状況把握に課題を残す。一方で、高級なグラフィック・カードを使っている場合は、それに付属したアプリでガンマ補正を数値で設定できる。しかし、いずれにしても、調整結果が 「それでよいかどうかの確認」のための簡単な方法が用意されていない。
そこで、確認用の画像をPDFで彼に渡した。同じように困っている人がいたら目安に使ってほしい。このチャートは、0は黒、256を白として、0→255までの明るさを5段階づつ黒から白へ、グレーの面積を並べてグレースケールにした。このチャートを観ながら、あくまで白黒として僅かな階調(グレーの階段)がすべて区別できれば完璧な状態といえる。しかし、黒い方の 0から10程度(3ステップ)は、区別がはっきりしなこともある。これは、ディスプレイの個体差で異なることがあるからだ。しかし、明るい方の245から255(3ステップ)までは、背景より少しづつ暗く区別できるようにないと、画像が飛んだ感じになり、明るさの再現性として適正ではない。だから、まず最初に 255の明るい部分が背景と区別できるように、デイスプレイの「明るさ」を調整固定し、徐々に暗いほうへ向かってガンマ補正を進める。最終的に暗部まで区別が出来るようにする。それで、ガンマ補正は2.2、もしくは、それ以上の筈である。その状態で、実写したカメラの画像を観ると、カメラの暗部ガンマがある程度把握できて、被写体によってはブラックストレッチをONするほうが良い場合もある。
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%211617&app=WordPdf
補足:チャートのグレースケールは、画像アプリで1つ1つ数値でグレーを作り、その面積を連結したものだが、Windows 標準ディスプレイで校正されているわけではないので、正確無比とは言えない。あくまでも暗部、明部、中間調等の目安程度といえる。ただ、これでも、暗部、明部が区別付かないところがあれば、それはそれで大きな問題といえる。