2014/07/11

農家のベーコン

   2008年といえば、もう6年も昔の話になってしまったが、世界の首脳が北海道の洞爺湖畔のホテルに集まって金融や経済に関する会合を行ったことがある。俗に言うところの「G8 洞爺湖サミット」で、その時の朝食に使われたベーコンが今日の逸品になる。云わばG8洞爺湖サミット御用達ベーコンである。朝食にベーコンやウインナーを中心にする洋食派には、興味をそそる情報だったのではないだろうか。インターネットショッピングがまだ黎明期にあった当時としては、まさか我々のような庶民が口にすることなど、想定すらできないし、元々そのような情報が広がって話題になることもなかったのである。

   だからと言って、今回はインターネットショッピングで買い求めたわけではない。正直申し上げて、インターネットショッピングの取り扱う品物の品質や価格設定には、懸念を払拭できないからだ。楽天に限ったことではないが、1度でも顧客の信頼を失えば、その後その印象はずっと残り、信頼が回復することは絶対にない。しかし一方で、店頭などで目の前にいくつか実物が並べられ、おばちゃんの試食を含めた対面での説明だと、徐々に興味も湧いてくるし、納得感も安心感も満たされるのである。他に特別買いたい品物もないし、どうせ必要なものだし、迷いながらも1つぐらい買ってみようと心が動くのである。しかも、ベーコンだけというのも愛想がよくないので、少しだけれど、ついでにウインナーも袋に入れてもらうことにした。

   このベーコンは、ドイツの農家で古くから作られてきた製法を忠実に再現したものだという。 新鮮な豚ばら肉を塩漬けにするところまでは同じなのだが、その後、「豚の血液を肉の表面に塗ってからスモークする」という、その言葉を聞いて「うーむ」と、やや首を傾げながら、どう反応してよいか分からず、本当にそれが「旨味の閉じ込めるノウハウ」なのか?と疑問に感じたのである。いつまでも変な顔をするわけにもいかず、それが、ベーコンの風味を左右すると納得したいが、その説明を聞きながら「へーそれは美味そうだ」と思う人が、どれだけいたか分からない。そこで、本当に風味がよいのか口にしてみる価値はあると思えた。そして、最後に背中を押してくれたのは、本場ドイツでも評価を得た、「2009年からドイツ農業協会(DLG)国際品質競技会で連続金賞受賞」した商品だというところである。

   豚の血液を肉の表面に(↑写真)塗ってからスモークするという手法は、日本的に置き換えれば「いかの塩辛を作るのに、その肝を一緒に加工して味に深みを出す」のと同じ様な考え方かもしれない(俗に言う肝入り)。そのように考え方を大局的に淘汰してしまえば納得感はある。さほど難しく考えることでもなさそうだ。さっそく味見のために少し切って炙ってみる。開口一番、おーっと、塩気はかなり少なく、肉質の良い印象を受けた。これはいいと直感する。肉質、脂共に質が良いので、カリカリに焼いたり、固めに仕上げるにはもったいない。私にはやや贅沢な感じである。むしろ、ベーコンをあまりお好きでない人にお勧めできる。ウインナーの方も品質が高く大変美味しい。贈答用にはすぐれた品物と言えそうだ。
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%211552&app=WordPdf

補足:肝入り(肝煎り)→:お金や知識などを持つ上席が、大切な人に重要とされる事柄について世話を焼きながら指導する関係のこと。大切な人だけに留まらす、大切な対象になる物、品、等も同じ使い方をする。