2014/12/16

タニタ食堂のみそ汁

 年配の人達は、お袋の味といえば、味噌汁を挙げることが多い。半世紀ほど前の食生活は、やはりご飯に味噌汁、煮魚や焼き魚、漬物、といった食材が膳の上に並ぶのが一般的であった。特に味噌汁は、そのお宅の歴史的背景によって味が継承されてきた。当時は、家という存在が中心で、お嫁さんは家に嫁ぐ概念で、姑は、その家のしきたりや味付けを「伝えて行く」仕事だったと言える。その中で、味噌汁の味はそのお宅の歴史を継承して来たといえそうだ。

 酒粕などを使った甘い味噌汁は別として、ご飯と共に戴く「当時の味噌汁」は、現在からすれば塩分はかなり多かった。それは、元々の味噌に塩が大量に使われてきたためだが、健康を保つ上でこの味噌汁の塩分量を減らす事が重要だと判って以来、味噌メーカーは盛んに塩分控えめの商品を提供し始めた。味噌汁作りには、理屈などはなく、経験によって「自らの舌で調理の最終確認」がなされる。ここに、塩分量が減少しない現実があるが、最近の目安としては、WHOで推奨している塩分量は 5g/1日以下というのが標準になっている。


 一般的に夕飯時には味噌汁を戴くことは多い。そこに塩分はどのくらい入っているかはわからないが、塩分の少ない味噌汁に慣れる必要があり、何か味的に基準になる物は無いのか、ただそう単純でもない事は分かっているが、興味を持って探してみた。その期待にピッタリ来たのが上の写真で、「塩分とカロリーの低い即席みそ汁」という健康を重視する人に向けた商品で、「タニタ食堂の味噌汁」という名称になる。商品は写真のとおり、2種類の味噌を使った4種類の味噌汁が提供されている。
 
 商品の内容は、写真右側の袋=きのこ(24kcal)の味噌汁3袋、野菜(28kcal)の味噌汁3袋で、味噌と出汁入りで6袋分共通。左側の袋=めかぶと小葱(25kcal)3袋、きんぴら風(30kcal)3袋で、こちらも味噌と出汁は6袋分共通。興味深いのは、単なる低カロリーだけではない。塩分がすべて「1.0g」で作られており、いずれも美味しい味噌汁が、熱湯160mlで出来上がる。しかも、1食あたり35円程度。

 実際1.0gの味噌汁が果たして本当に美味しいかどうかは、個人によって反応は異なるに違いない。個人的には全く塩気を感じさせない穏やかな味に魅かれている。もちろん、この塩分1gの味噌汁の味に慣れてしまうと、自ら味噌汁を作る時の最終確認の判断に役立つに違いない。ただ、これは、タニタとマルコメのコラボレーションで生まれた商品なので、かなり味覚や旨味について研究されていると思える。もちろん、簡単に同じような結果を自家製で出す事は出来ないに違いない。冷蔵庫にある幾つかの味噌全てを破棄したくなるくらいだ。この「タニタ食堂の味噌汁」の塩分控えめの案配を知ることは無駄ではないと思われる。