2015/03/10

国産 わけあり刻みうなぎ

  世界的に鰻の稚魚の入手困難が続いており、鰻好きの人にはさびしい時期に突入しているが、ここ数年は我慢が続くと思われる。特に最近は価格の高騰のみならず、一方で職人の減少に合わせて蒲焼の機械化が進み、柔らかく職人技の蒲焼の入手自体が困難になってきた。つまり、老舗の鰻屋へ出向かないと今までのような美味しい鰻を戴くことが出来なくなっている。そんな状況の中で、デパ地下やスーパーなど、何処へ行っても大量に並んだ鰻の蒲焼パックを観ながら、いつでも、同じ疑問が頭をよぎる。


  こんなに綺麗に、大きさや形が揃った蒲焼を仕上げる工程は、柔らかさを犠牲にして、適度な硬さを保って歩留まりを向上させ、無駄が出ない仕組みなのだろう。つまり、老舗店の蒲焼の作り方と、大量の蒲焼製造システムは、「重視する思想」が根本的に異なり、当然食感も味も異なる結果になるに違いない。昔は、1尾づつ丁寧に熟練の職人が作業していたわけで、途中の「さばき、蒸し、焼き」などの工程で、ふっくら仕上げようとするため、どうしても身が切れてしまったとか、形が崩れることがあった。業界では、それらを「はね出し」というらしいが、はね出しが出ることが「職人の作業の証」でもある。

  そのはね出しを集めて、訳ありと称して 「刻みうなぎ」仕様にすることで、味はそのまま、大変お買得な商品として売り出されることがあった。そんな商品を久々にTBSショッピングで見付けたので、それに飛びついて取り寄せてみた。国産訳あり「刻みうなぎ」の中身は60g×10袋、タレ10cc、山椒×10袋。鰻の原産地は、愛知、鹿児島、静岡で養殖と書かれている。1袋づつ湯銭にかけて、温かいご飯の上に乗せるだけで鰻丼になる。それ以外に、ご飯に混ぜておにぎりに使ったり、山椒や大葉を添えておつまみにもなり、使い方次第だ。

  同社の説明では、厳選された国産うなぎを、美味しい蒲焼に仕上げるために、熟練の職人が拘わって作業していると説明している。1尾1尾を手でさばき、遠赤外線と溶岩を使った特製の焼き台で、秘伝のタレを付けては焼き、付けては焼きと、何度も繰り返すそうだ。そういう作業を通じて、じっくり焼き上げることで、表面は香ばしく、中はふっくら柔らかで脂ののった美味しい蒲焼になるという。まさに、大量の蒲焼製造システムでは実現できない仕上がりといえる。確かに、鰻自体は皮が薄く肉厚で、柔らかな食感なので、お年寄りにも喜んでもらえる。
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