テレビのドラマ映像が最近綺麗になってきた。放送局のインフラの整備も細部まで進んで全体的にハイビジョンに対応してきたようだ。従来のアナログテレビでも十分にそれを満喫できる場合も多い。中でも、驚いているのはフイルムで撮影されたもので、かつて中高年を興奮の坩堝に巻き込んだ「武芸」番組のハイビジョン制作版である。その目を見張る映像美には驚嘆する。それは、かつての映画会社の余りある撮影技術を惜しみなく投入し、更に新たなフレームワークで構成した新作なのだが、テレビ会社が制作した台本をナメルだけのものとの差は歴然としている。1カット、1カットに美学が溢れ、一切の無駄がない。映像に多少なりとも興味を持つ者としては、参考になることが多い。人を感動させる映像美とは何かを知らしめる精神が満載されているのだ。
少しうがった見方をすれば、「山、川、道、橋、湖、社寺仏閣、人を含めた日本の美はこう撮るんだよ、わかってる?」と見せ付けているのだ。もちろん、そういう映像の中に、あるときは緊張感、またあるときは安堵感を伝えるための雰囲気の違いを出してくる。彼らは、まさに映像のファンタジタである。もちろん、VTRで何度も繰り返し見る価値があり、見るたびに新たな発見もある。
一方、写真用のカメラを販売しているメーカーは、訳の分からない無機質な構造写真とか、外人女性、知らない海外の風景写真をカタログに載せて威張っているが、それではそのカメラの性能が良いのか、中途半端なのかよく分からない。現実との比較が出来ないからだ。カメラは夢を売る商品で、何度も買い換えてもらわなければならないわけだから、現実にある身近な日本の美を写真にしても、レタッチがばれるとか、がっかりさせるだけだと考えているに違いない。実は、日本人は誰でも生まれながらに比較画像にうるさいのである。だから、メーカーは物理特性の一面しか強調出来なくなってしまったし、後発メーカーは、購買意欲をそそる為に、海外のレンズメーカーのブランドを活用するしか手がないのかもしれない。ただ、フイルムがなくなっていく今後は、家電メーカーの底力でもある部品開発能力、革新的な映像テクノロジー、課題を合理的に解決する発想等が、カメラに惜しみなく投入され、画期的で安価なカメラを生む可能性がある。是非、身近な日本の美を写しこめるカメラに力を注いでもらいたい。
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