福岡に住む学生時代の友人は、地元の放送局に勤務しているが、出張と称して時折上京し、かつての仲間宅を訪れるのが楽しみのようだ。そして、いつも決まって手土産を持って現れる。申し訳ないし、わざわざ荷物になるから、お土産はいらないよと言うと、「まあそう言わんでん、本物やけん」と、苦笑しながら、箱を差し出した。もう、このような儀式にも似た行為を何度か重ねてきたが、徐々にその箱は小さくなっている。彼も、かなりの偉者になっているはずだが、放送業界は今とても厳しいらしい。思い出すに学生時代は、彼の実家から送ってきた博多辛子明太子を色々食べさせてもらったことだ。中でもスパゲティーは、強く印象に残っている。茹でたスパゲティーに昆布茶をかけて攪拌し、上から豪快に辛子明太子をまぶすだけなのだが、当時「慢性空腹症」の我々には大変美味しかった。勿論、今、手にしている、この小さな箱の中身を使ってそれを再現するのは「少々もったいなくて」出来そうもないが、思い出すように汎用の辛子明太子パスタはよく作る。もちろん、類似品の辛子明太子を使っているので、大幅にコストダウンになっている。
辛子明太子のパスタソースで一番売れているのが、「S&B」である。いつもこれを起爆剤として使う。これは、ブームが去っていても、いまだに売れているという事実が背景にあり、店頭でパッケージを見ると、誰しも思い出したように「1つ買っておこう、急な調理にも素早く対応できる」と思っているようだ。それは、パスタだけではなく、お酒のおつまみや、和え物など、幅広い用途に活用されている。早い話が、美味しいのである。今日は、これを使って純和風にまとめてみたい。
まず、このS&Bの辛子明太子ソースの原材料から見てみよう。明太子、チョートニング(なたね油、パーム油)、食塩、砂糖、たん白加水分解物(かつお、いわし、まぐろ、コーン、小麦、大豆)、調味料(アミノ酸など)、コチニ-ル色素/トッピング用 のり等で構成される。次に、別途用意する物は1.しその葉、2.辛子明太子(あくまで類似品)、3.抹茶か、煎茶の顆粒、4.昆布茶などで、その他はいつものパスタ定番材料である。ここまで列挙すれば、おおよそ見当がつくというものだが、いくつかの選択肢があるので説明を続けたい。
さて、別途用意した 1.辛子明太子の扱いだが、香ばしさを出すために、少しあぶって半生(たたき状態)でスライス状にしてパスタの上にあしらうか、生のまま中身を出してバラ子にしてパスタに和えるかがある。ここでは、後者で見本を作ったが、時間的余裕があれば、前者の方法を楽しんでもらいたい。次に、2.たらこの匂いを抑えるために、抹茶か煎茶の顆粒を加える。「生たらこ独特の匂い」を嫌う人もいらっしゃると思うので、ここでは、手軽な煎茶の顆粒を使ってそれを抑える。また、抹茶を加えて彩を工夫したり、少し苦味を加減するのも目新しくてよい。3.パスタを茹でるときに塩の代わりに昆布茶を使う、または、パスタを和えるときに昆布茶を少量加える。これは、とかく軽薄になりがちなパスタの味に深みを加える事が出来、単に塩の代用だけに留まらない。また、辛いのがお好きな方は、鷹の爪を入れて茹でると良い。パスタを茹でる時に、自分の好みをそこに反映させて、いろいろな工夫をすると良い。 何でも、教わったとおりの既成概念で実行するのも、悪いことではないが、自己完結型の料理には失敗はないので、思いっきり創意を楽しんでみたい。
最も注意する点は、やはり全体の塩分量であり、これを上手に管理出来なければ、全て台無しになる。くれぐれも塩分調整には注意して欲しい。生の辛子明太子には大量の塩が使われているので、購入時にお店で塩分量を尋ねて選択するように神経を使おう。ここでは、パスタを茹でるときに昆布茶を少し使い、昆布の旨味をパスタに浸潤させた。そして、パスタにソースを絡めながら生の辛子明太子を1/3程度加え、残りはトッピングにした。煎茶の顆粒も加え、最後に、しその葉を上から乗せて完成である。
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