今日は、常々試してみたいと思っていた「鰻の炊き込みご飯」を作ってみた。何でわざわざ、美味しい「鰻の蒲焼」を炊き込みご飯にしなければならないのか、という疑問も沸くかもしれないが、それも「一種の美味しさ」の追求なのである。まず、その根拠となる背景には、関西と関東の鰻の処理の違いにある。現在、全国のスーパーなどで販売されている鰻の蒲焼は、蒸し工程を含んで「ふっくら柔らか処理」がなされているが、元々関西では、その処理を行わない川魚処理そのものであった。そういう工程の中で「脂の少ない鰻の美味しさ」を追求してきたわけだが、現在の鰻は、四万十川で採れる様な天然物は一般市場に存在せず、一部の高級鰻料理店等で取り扱われている程度で、ほとんどは、養殖物である。養殖物は脂の乗りがよく、臭みもないので美味しい。天然物は高価である割には、まれに河川の臭いがある物があり、大量の山椒が必要なことがある。
関西の「蒸し工程」のない鰻の蒲焼は、一般的に大型の「穴子」のような食感に例えられると思う。もちろん、お店で戴く時には、出来立てなので、それなりに美味しくいただけるが、一度冷えてしまうと、穴子寿司に入っているような、固めの食感に戻ってしまうのである。そこで、そのような冷えた品物が手に入ったら、是非に、「炊き込みご飯」に使ってみたいと思ったのである。今回入手したものは、「広島の老舗料理店の鰻の蒲焼」そのもので、蒲焼になってから真空パックで20時間程度経過したものである。大昔の記憶になるが、もちろん、そのお店へ出かけ何度か鰻重を戴いたこともある。その頃は、この大田川の支流に生息する鰻なのだろうと思ったのを覚えている。
さて、冷蔵の宅配便で送られてきた鰻の蒲焼を、とりあえず1尾処理してみることにする。注)この1尾(または一本)というのは、丸々一匹加工済みの状態を指し、串に刺された状態では1串という。生きた状態では、もちろん一匹と表記する。さて、まず、その蒲焼状態に加工された一尾を1cm幅で裁断する。付属の調味液と日本酒、山椒を加え、一度電子レンジで加熱する。日本酒が飛んでしまうぐらい(約60秒ぐらい)で取りだし、放置して冷やしておく。お米は、1尾あたり2合の量にする。お米を洗浄して2合にあわせた水を入れておく。1時間ぐらい放置した後に、裁断した鰻の蒲焼を半分と、調味液を2/3ほど(PDF写真の容器参照)加えて炊飯スイッチを入れる。お米の水は、若干薄い茶色になる程度に抑える。ここで濃過ぎると焦げやすい。
炊き上がったら、一度口にし味が足りなければ、調味液を追加する。調味液は、その薫り自体で、ご飯がいただけるという人がいるくらいの代物なので、この調整は重要で、濃いのが良いと言う人もいれば、濃すぎると鰻の味が引き立たないと言う人もいる。若干薄目が良い。同時に、少々鰻に臭みを感じれば、もちろん、少し冷えると臭みが分かりにくくなるが、ここで山椒を追加しておく。さらに、残りの半分の鰻の蒲焼を全て投入してから大雑把にかき混ぜておく。20分ぐらい良く蒸らしてから茶碗にもって戴く。今日は、浅いお皿に盛ってみた。この時期、付合せの梅干は必須である。
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