業界の標準が4時間というのに、CAFE KALDI は、その2倍の8時間が必要な「水出しアイス珈琲」を販売している。あえて、業界標準の向こうを張ることで、幾つかの差別化とも言うべき、販売価格、抽出時間、利便性、品質保持、美味しさ、に拘っているようだ。8時間の抽出時間は利便性と大いに係わり合いがある。たとえば、夜就寝時間前に冷蔵庫にセットすると、朝食にタイミングよく並べられが、中途半端な4時間の設定では、ちょうど「丑三つ時」に一度目を覚ませ、容器から珈琲バッグを取り出すと言う作業を強いられる。結局、4時間の抽出時間の概念は、ただ、無駄に抽出時間競争に走っているだけとも取れるのである。
水出しアイス珈琲の商品化には、どうしても他社との差別化として、価格が安くて、抽出の早い方が良いという、自然現象に反する難度の高い目標を掲げたがる傾向にある。しかし、それは米国的マーケティングにありがちな 「安易で短絡的な上辺の考え」とも言えよう。本来、水出し珈琲の本質を熟知している人達にとっては、少々価格は高くても、抽出時間を掛けても、何に代えても商品価値を「風味とか、薫りの高さや美味しさ」に傾けるべきだと考えている。水出しの最も重要な要素は、やはり、「じっくり時間を掛けて」美味しさを引き出すことにあり、その自然現象に委ねた考えを譲るわけにはいかないのである。その抽出時間を大切に決めることで、珈琲バッグの大きさや内容量、水の指定量等の条件が織り込まれ、最終的な味の品位が確立するのである。
だが一方で、そんな、製造者が神経を使って試行錯誤の上、微妙な味わいを問題にしているにもかかわらず、しかし、そんな商品企画とは異なり、ユーザーといては、どの様な使い方をしても良いことになっている。たとえば、水出し珈琲の風味と苦味を活かして爽やかにストレートで飲みたい時もあれば、ミルクたっぷりで戴くカフェオレ調も良い。また、思いっきり濃い珈琲を出し、牛乳で割って砂糖を加え、昔に銭湯でよく飲んだ珈琲牛乳風に作って、風呂上りに楽しんでも良い。そんな、人それぞれの楽しみ方があるがゆえに、商品の選択肢があったり、各社独自の特徴を打ち出しているのである。
爽やかで薫り高く、ほろ苦い味を備えたアイス珈琲に仕上げるには、一番重要なのは、やはり水の選択を忘れてはならない。さっぱり爽やかを追求するには、多少、抽出時間を短めに設定することがあり、その時、抽出した「元の水の味」が残ってしまうことがある。水単独では分からなかった水の味が、僅かに何か加わると「水の味」の違いを感じるのである。それを嫌うなら、やはり、組み合わせとして、そう感じさせない水をあらかじめ選択しておく必要がある。市販の天然水とか、ミネラル水、アルカリイオン水の中でも、経験的に最も嫌味の無い自然な感じなのがアルカリイオン水と言える。また、アルカリイオン水は、浸透、抽出が早い傾向があり、それが意外にも美味しさに繋がっている可能性も考えられる。
今日紹介する8時間抽出の水出し珈琲は、標準的で無難といえるほど大人しい商品なのだが、それだけ、爽やかな風味と苦味のバランスは良いと思える。使う抽出水や抽出時間を好みに合わせて欲しい。
ではこちら
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