2013/08/06

半夏うどん

  かつて、住んでいたことのある場所で、最新のイベントの事実を周囲から聞かされたりすると、「ふーん~」と不本意な挙動をすることがある。自分の想像のどこかで、何か歴史的な必然性があったのではないかと、一生懸命記憶を呼び戻し、そこに何があったのか、あるいは、どういう発想でそれが実現されたのか探偵のように推測することがある。果たして、この「半夏(はんげ)うどん」が、そのような価値に相当するかどうかわからないが、意外にも(遅かったが)、ごくごく数日前にそれを知ることになったのである。

  何か、地域的に凄い歴史的云われとか、そこに熱を帯びたものを感じる程の記念なのか、よく分からないにしても、お店のおじさんから薦められ、それに反応して、爽やかで「物分りの良い、いい男」だと思われたい気持ちもあったのかもしれないが、「ふーん、あー、ふーん」と合図ちを打ちながら、最終的に「旨いの?」と聞くと、「それはもう、これ以上美味しいうどんは無いんよ」と言わんばかりに、商売人の最終弁論ともいうべき「騙されたと思って、食べてみてよ」といわれてしまった。そこまでいうなら、と思いながら2パック(4人分)買って帰ってきたのである。

    半夏(はんげ)とは、「夏至」から数えて11日目のことを言うらしい。その日は、毎年小麦の豊作を祈って、小麦から作られる「食材=うどん」を食べる日を記念したものということらしい。6月下旬に採れる新小麦をすぐに挽いて(果たしてそれが)美味しいかどうかは、私の知るところではないが、「豊作を喜んで、出来るだけ多くの人とそれを分かち合う」と言う観点から、その時期のお祭りになったのであろう。余計なお世話かもしれないが、個人的には、その時期は梅雨なので、夏まで待つとか、時期的に盛り上がるには、少々早いような気もする。昔は、そのようなイベントは無かった。

  と言う背景を思い出し、期待に胸を膨らませながら、早速鍋を2つ用意し、お湯を沸かすことにする。ふつふつと鍋の縁に泡が出来て、沸騰し始めるころに麺をほぐしながら投入する。一方で鰹の出汁をとる。付属の「希釈出汁の素」より、ストレートな味で戴いてみたい。麺はやや黄色を帯びて、それが妙に美味しそうに見える。「ええっと、何分だっけと包装をひっくり返してみると、なんと15~16分」と書いてある。そんなに長く?と不思議に思いながら、いつもなら、ずっと大きな鍋で泳がせるのだが、この程度の一人前を作るには、少し箸で動かしてながら待つ。ピッピッと時間が来たので、冷水で何度か麺を磨く。その表面はツルツルになり凄く綺麗だった。汁が薄いので、麺の中の独特の塩気を感じたが、それがいかにも讃岐っぽくて懐かしいし、美味しい。おじさんの言うとおり「とてもこしのある美味しいうどん」であった。 
ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%211367&app=WordPdf

補足:香川県産小麦「さぬきの夢」は、美味しいうどんのために10年掛けて開発した新麦である。1000人もの専門家が、既にオーストラリア産より「はるかに美味しく」なったと口をそろえて絶賛した麦である。