今年は、こんなものまで買ってきた。ふと、ご飯も何とか冷やして美味しく戴きたいと思ったからだ。それも、これも、氷を入れるカップヌードルのCMに嗜好が刺激されたのかもしれない。この暑さの中では、逆に熱いものを食べたほうがよいと言う「頑固なじじい」もいるが、そんな真似をしていたら、命が何時までもつか分からない。やはり、朝から晩まで、いつでも冷たいものが欲しい。そんな折に、とても涼しげな雰囲気を醸し出した商品を見つけた。和紙の質感に仕上げられた包装が全体を覆い、裏側の説明文は霞みがかかったように、見えるか見えないか際どく、つい引き寄せて文字を追いかけてしまった。
そこには、その食べ方の指南ともいうべき、ちょうど良いご飯とお水の案配が書かれてあった。無視して好き勝手に食べてもよいが、1袋の中には、3杯分の用意があり、1杯分としてのご飯の量は100g、冷たいお水の量が150g となっている。それは、具材6gつまり「あられや漬物、海苔など」と、お茶2g「緑茶と粉末昆布混合」(写真では銀色のパッケージ)の2つに分けて封印してある。もちろん、足りなければ、2袋、3袋分を使えば良い。若者なら1回2杯分を使うぐらいが適当だと思う。PDF写真は、普通に少し浅い茶碗を用意して1杯分にしたが、2杯分だと少し深めの茶碗に、削り氷などをたっぷり追加して、喉を一気に冷やしたいものだ。
この「ひやし茶づけ」は、京都の老舗あられ屋(有)藤沢永正堂が提供しているもので、「執念とも言うべき様々な拘りで固めつくされて」いる。それは、お茶から漬物(みぶ菜、しば漬け)、梅、昆布、海苔、あられ、塩に至るまで産地が明確に記載されているのである。これからの「食品や食材の手本」とも言うべき表示方法である。そして、化学調味料などの食品添加物は、もちろん一切使用せず、上品にし上げたとも書かれている。それを順に読み進むだけで、美味しそうな手ごたえが深みを帯びてくる。緑茶のほのかな香り、味わい深い具材、風味豊かな焼海苔と、あられの旨みがご飯とよくあうお茶づけであることを、勝手に想像できてしまうのである。
さすがに、全く上品なつくりで端正。ちょっと涼しげな風鈴の音とあわせると、まるで、夏の京都を思い浮かべ、CMのように「こんなものしかおへんけど」と美人のお上が、お昼に出してくれた「冷やし茶づけ」に見えてくるのである。東京の味覚とも言うべき、許容範囲の広い美味しさに慣れてしまっている我々にとって、この商品のように、ここまで正確無比に味が整えられると、嗜好心のど真ん中を矢でぶち抜かれたような、忘れていた王道とも言うべき、「食に対する京都の歴史」を思い起こさせられるのである。美味い!
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