香川県は、年間を通して降雨量の少ない所で、日照り続きの場合は、農業用水に溜め池の水が使われる。もちろん、それは古くから「うどん用の小麦」にも使われてきた。近年、うどん用の小麦はオーストラリアから大量に輸入されているものの、やはり、香川の小麦作りは、長い歴史があるだけに、それだけ優れた品質を誇っている。それに溜め池も大いに貢献しているのである。香川県の小麦には、うどん用の他、はだか麦と言う品種もあって、麦味噌や麦ご飯、麦茶に使われている。麦と言うとすぐにビールを思い浮かべる人も少なくないが、そちらは、二条大麦で、さらに、一般的に「麦茶」に使われるのは、その兄弟分の六条大麦らしい。結局、国内の麦には大小合わせて4種類あると言うことになる。
この「ほんまもん麦茶」は、「香川県産の裸麦イチバンボシ」という品種で作られている。六条大麦に比べて、澱粉の抽出量が豊富で、やさしい口当たりに濃厚な麦の香ばしさ、ほのかな甘さに優れているという。厳選された裸麦イチバンボシを100%使ってあることから「ほんまもん麦茶」という名称がつけられたようだ。「ほんまもん」とは、「本当の」と言う言葉と「物」との関西風合成語と考えられるが、これに対し、類似品を明らかな「にせもん」とは言わず、同じようにみえるけれど少し品質が落ちるという意味を使って「まがいもん」という。つまり、どこか訳のわからない「まがいもん」ではなく、香川県の「ほんまもん」なのである。微妙だけれど、名称自体で相対的に他と明らかな差別化を考えた「ブランド商品」である。
「ほんまもん麦茶」の作り方は2つある。1つは、煮出し=1.5Lのお湯に1パックを投入し、5分程度煮出す。あとは、パックを取り出し、常温まで下がったら冷蔵庫で冷やすと言う方法である。もう1つは、水出し=1Lのお水に1パックを投入し、そのまま冷蔵庫で2時間抽出する。水出しの方はなかなか色濃くならないが、お味はとてもやさしく美味しい。苦味や色の濃いのがお好みなら、2パックを2Lで煮出すぐらいが良い。どちらも独特のやさしい香ばしさと甘みがあり、本物を実感させる。お勧めは、アルカリイオン水を使った濃い目の水出しになる。
ほんまもん麦茶のパッケージの中を覗くと、麦の焙煎された薫りがふわっと押し寄せる。その薫りに、どこか「屋島をバックに畑の中を走る琴電のような、田舎の田園風景」を思い浮かべてしまった。テレビでは、TPP問題とか、農協も云々かんぬんと言われているようだが、この麦茶のパッケージにあるように、これからは、原材料生産地、製造者「JA香川県」のように、明確にして安心・安全に十分な気を配っていることを明示して欲しいものだ。要は、そのままでも、水出しでも、安心して食べられるものが競争に残れるように、どこのJAも力を尽くして欲しいものである。
ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%211372&app=WordPdf